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Sansanのビジネスモデル・事業内容

Sansanは「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションをかかげ、「クラウドソフトウェア」に「テクノロジーと人力による名刺データ化の仕組み」を組み合わせた手法を軸として、名刺管理をはじめとした企業やビジネスパーソンの課題を解決するサービスを展開している。

法人向けには、名刺をデータ化し、人と人とのつながりを情報として可視化・共有できる、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を展開しているほか、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの仕組みを取り入れて、名刺をビジネスのつながりに変える名刺アプリ「Eight」を個人向けに提供。

さらに、両事業共通の基盤として、名刺のデータ化などをデータ統括部門「DSOC(Data Strategy &Operation Center)」が担っており、新技術の開発とデータ入力オペレーションの改善を追求し続けている。

「Sansan」と「Eight」は、どちらも数多くの企業やビジネスパーソンが利用するサービスとなっており、「名刺」という極めて基本的なビジネスニーズと、そこに蓄積されるデータが土台となっており、他のサービスやデータベースとの連携可能性も高く、ビジネス・プラットフォームとしての価値を高めていく可能性も有していると言える。

Sansan事業

Sansan事業は、「Sansan, Where Business Starts 名刺管理から、ビジネスがはじまる」をコンセプトとして、クラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに提供している。

「Sansan」の活用によって解決できるのは、企業が抱える次のような問題である。

  • 名刺交換情報が社内で共有されていない
  • 社内コミュニケーションが円滑にできていない
  • 名刺情報がもつ価値に気づけていない

こうした課題を解決し、企業に眠る名刺を事業活動に使える資産に変えることで、ビジネスの「出会い」の価値を最大化することを狙っている。

ユーザー企業は、名刺をスキャンするだけで、名刺情報はSansanグループや外部の情報処理パートナーの入力オペレーターなどによって正確にデータ化され、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができる。

各社員単位の名刺管理だけではなく、組織内での名刺情報の共有も可能であるほか、最新の人物情報が通知される人事異動ニュースの配信や、一括メール配信機能など、幅広い顧客管理機能を備えている。

さらに、同僚とスムーズな情報共有をすることができる社内電話帳や、同僚の強みや知見を可視化する機能を備えた「同僚コラボレーション」、社内のデータベース連携や、複雑な顧客データの高度な名寄せができる「顧客データHub」などの機能も提供している。

クラウド上の名刺データにはパソコンやスマートフォンからアクセスすることができ、検索機能や電話・メッセージなどの活用によって、ビジネスパーソンに生産性向上、業務改善、コスト削減などの効果を提供する。

また、組織内で名刺情報の共有や、顧客データの名寄せなどが行えることで、ユーザー企業のビジネス機会を創出する高度なマーケティング活動も可能になるとSansanは考えている。

ビジネスモデルとしては、ユーザー企業の全社員によるサービス利用を前提としたライセンス費用に、オプション機能の利用料やスキャナレンタル料などが加算されたものが月額利用料となる。

サービス導入時には、紙で保管されている大量の名刺をデータ化したり、導入支援などの付加サービスを有料で提供している。

Sansanは、2019年5月期第3四半期末時点で5,738件もの契約を有しており、名刺管理サービスとして81.9%の市場シェアを握っている。同じく、過去12ヶ月平均の月次解約率は1.0%以下にとどまっていることから、利用者の満足度は高いことがわかる。

Eight事業

名刺管理アプリ「Eight」は、「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」をコンセプトとして、単なる名刺管理だけではなく、SNSとしての仕組みを入れた新たなビジネスネットワークサービスとなっている。

2017年には、初のテレビコマーシャルなどの広告宣伝活動を展開し、ビジネスネットワークとしての価値を訴求。その結果、2019年5月期第3四半期末時点で、235万人のユーザーを有している。

Eightは、Sansanと同様に、名刺をスキャンするだけで、自分や交換相手の名刺情報が正確にデータ化される。

ユーザーは、まず自分の名刺を登録することで、ビジネスライフを通じて活用できる自身のページが作成され、プロフィール管理が可能となる。 次に、交換相手の名刺を登録することで名刺管理機能が活用でき、クラウド上にデータ化された全ての名刺情報には、スマホやパソコンから、いつでもどこでもアクセスすることができる。

つながった相手の情報に変更があった場合には、登録した名刺情報も自動で更新され、通知が届くようになる。さらには、ビジネスチャットが送りあえるメッセージ機能も搭載しており、ユーザー自身が持つビジネスネットワークをよりスムーズに活用することができる。

ビジネスモデルとしては、プロフィール管理や名刺管理機能を無料で利用できるアプリをベースとしており、一部有料サービス「Eightプレミアム」や、企業内で名刺共有できる「Eight 企業向けプレミアム」、転職潜在層にアプローチすることができる採用関連サービス「Eight Career Design」、Eightユーザーに広告配信ができる「Eight Ads」などを提供している。

Sansanの競争優位性

Sansanの競争優位性として挙げられるのは、何と言っても創業以来構築してきた「名刺情報のデータ化」というオペレー村である。

大量の名刺をスキャンして、それをデータベース化するというオペレーションは「AI(機械学習)」と「人力(手入力)」のハイブリッドで行われており、長い時間をかけてチューニングしてきたオペレーションを模倣するのは容易ではないと言える。

さらに今後は、機械学習技術が進展していくにつれて手入力の必要性が減少すれば、すでに膨大な名刺データを保有するSansanの優位性は一層確かなものとなる可能性が高い。

また、名刺管理というサービスは、顧客企業内で大きなネットワーク効果が働くため、一度導入すると他サービスに移行することは難しい。

すでに売上金額シェアで80%を超え、認知度も高いSansanは、よほど強力な競合が現れない限り、シェアを奪われる可能性は大きくないと言える。

Sansanの将来性

その一方で、Sansanの契約数は、日本全体の法人数から見ると、まだまだ小さいというのが現実である。 同社の試算によると、まだ100倍の利用者の拡大余地があるとしており、「働き方改革」による市場機会の拡大も見込まれる中、成長の公算は極めて大きいと言える。

現在は、テレビCMなどを活用したSME(中小企業)への訴求と認知度の拡大が中心であるが、今後は営業・カスタマーサポートを強化することで、大企業への拡販を進めていく。

将来的には海外向けのサービス展開も強化しようとしており、5年後には1,000人の営業・CS体制を築くとしている。