マネーフォワードが新規上場!(目論見書を読んでみてわかること)

2017年08月25日 21:17

マネーフォワードの新規上場が承認されました。

マネーフォワードは、個人的に注目していたIPOでした。

理由は、「FinTechの第一号案件」「金融は法律。懸念するところもあったけどどうやって対処したのか」「freeeとの裁判」「ファクタリングのMF KESSAIでBSが大変そうだけど大丈夫かな」と思ったためなどです。

想定価格は243億円(最終ラウンドの1.25倍)、PSRは15.75倍となっています。

PSRは、15.75倍は高いものの、YoYで2倍になっている現状であると、今期は売上30億円程度になると予想でき、そうなると8倍程度に落ち着くため高すぎるとは言えないかもしれません。


PLの推移

まず、PLを見てみます。

一貫してPFMサービスの売上が半分近くを占めています。

PFM(家計簿アプリ)のみで、四半期で3.6億円もの売上をあげてるのはすごいと思います。


また、29年2月に大きく赤字になっていますが、これはCMを打ったためです。






PFMサービスの売上の内訳

PFMサービスは、大きく3つのマネタイズポイントがあります。

まずプレミアム課金収入は、1ユーザーあたり500円であり、8万人ほどの支払っていることになります。

DL数は500万を超えており、1.6%が課金していることになります。

また、BtoBtoCですが、すでに14の「マネーフォワード for 〇〇」と11のAPI連携先を抱えており、1社あたり1000~1500万円を支払っていることになります。


「マネーフォワード for 〇〇」



MFクラウドサービスの売上の内訳


子会社の状況

こちら、とても深いですね。

以前の発表では、MF KESSAIについては触れていましたが、実はMF HOSHOというものを設立していました。

基本的にMF KESSAIのようなファクタリングは、大規模な調達が必要な一方で、利益率があまり高くありません。

ですが、そこに売掛金の保証というものを行うと、一気に利益率が上がります。なぜなら、保証はトリガーが引かれなければ支払う必要がなく、売上のほとんどが利益になるためです。(ただし、トリガーが引かれまくると死ぬ。)

これは、マザーズ上場のラクーンが提供する「Paid」と「T&G保証」と似ています。


BSの推移

「子会社の状況」でも少し触れましたが、ファクタリングを手がけるには大きなお金が必要です。

なぜなら、一時的に売掛金を買い取るためです。そのためのお金は、エクイティではなくデットによる調達で行うが一般的だと思います。(資本コストがエクイティだと高くつくから)

デットを見てみると、確かに長期借入金が5.4億円増えています。




時価総額と希薄化の推移

各調達における時価総額の推移と希薄化の率を見て見ます。

調達時期 2012年12月 2013年3月 2014年4月 2014年9月 2014年12月 2015年8月 2015年10月 2016年10月
調達額 0.2億円 1億 5億 0.5億 15億 10億 6億 11億(Debt含む)
投資家 マネックスベンチャーズ 早稲田情報技術研究所 ジャフコ TBSイノベーション・パートナーズ ジャフコ SBIHD 三井物産 みずほキャピタル
三菱UFJキャピタル クレディセゾン ジャフコ Fenox 三越伊勢丹HD
ソースネクスト 静岡銀行 山口FG Fenox
三井住友海上キャピタル 東邦銀行 東邦銀行
電通デジタルHD 三菱UFJ信託銀行 北洋銀行
GMOベンチャーパートナーズ 群馬銀行
福井銀行
滋賀銀行



事業のリスク

マネーフォワードの今回の上場で気になっていたのが、法的や個人情報に関するリスクです。


まず、マネーフォワードは、パスワードや口座番号などをユーザーから預かり、毎日マネーフォワードが代わりにログインして情報を引っ張ってくるアカウントアグリゲーションというものを行なっています。

一見便利ですが、万が一情報が漏れてしまった時に大騒ぎになります。

ここで、マネーフォワードなどが行なっていたAPIの解放活動が繋がってきます。

APIで連携すれば、パスワードや口座番号を預からなくても情報を引っ張ってくることができるようになります。


次に、金融機関APIには参照系と更新系の二つがあります。

参照系については、ただ情報を引っ張ってくるだけなのですが、更新系については資金移動も可能となります。この資金移動については、資金移動業や銀行業などの資格が必要になる可能性があるとされていますが、マネーフォワードは登録していません。ただ、現状の法的解釈では問題ないとなっています。


次に、売掛金回収事業、通称ファクタリングと呼ばれるものについてです。

ファクタリングは、解釈によって、貸金業や銀行業、資金移動業、債権回収業が必要になるのでは?とされる可能性があります。

現状マネーフォワードは、貸金業や銀行業、資金移動業、債権回収業のどれも登録せずに行なっていますが、現状の法的解釈では問題ないとなっています。しかし、法的解釈が変わるとアウトになります。(かつてのグレーゾーンを取っていた消費者金融のように。)



非上場株式

マネーフォワードは、お金のデザインに出資しています。この非上場株式は、お金のデザインの可能性があります。

当時の出資額が1000万円程度と考えられ、時価総額が3倍になったのかな…?


株主

シリーズAからフォローオンし続けていたジャフコが外部筆頭になっています。

お金のデザイン・ライフネット生命・マーキュリアインベストメントに創業期から投資していた谷家氏や野村ホールディングスの名誉会長の氏家氏、エンジェル投資家の有安氏も入っています。




いかがでしたでしょうか。

法的懸念点はあるものの、現状問題はないとされています。

今後もFinTech企業のIPOは続くと思われますが、いい影響を与えられるのか。(ロードスターキャピタルも上場が承認されました!)

また、freeeはどうなるのか。(時価総額350億円だけど…)

今後も楽しみです。(個人的には赤字だけどクラウド会計の利益率は往往にして高い上にこの成長率を続けられるなら◎です)

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