【保存版】KDDIによるM&Aの歴史(ソフトバンクに隠れがちだけど着実に結果を出している)

2017年08月31日 04:53

先日、KDDIがソラコムを買収しました。KDDIは、ソフトバンクに隠れがちですが、昔からM&Aに積極的です。

KDDIは、国際電話のKDDと長距離電話のDDIと携帯電話のIDOが2000年に合併して誕生した通信キャリアですが、営業利益が通信キャリアとして唯一、減益になったことがありません。(18年連続!!)

そんなKDDIですが M&Aについていくつかのパターンがあり、後で触れたいと思います。


KDDIは、今後3年間で5000億円をM&Aに投入するそうです。

これは、KDDIが2012年以降のベンチャー投資額220億円(「Syn.alliance」の120億円、KDDI Open Innovation Fundの100億円 )の23倍にも当たります。

全てがベンチャー投資にいくとは限りませんが、とても興味深い数値だと思います。


KDDIのM&Aの歴史

ここで、KDDIのM&Aの歴史について見ていきたいと思います。

KOIFとは、KDDI Open Innovation Fundのことで、KDDIのVCによる案件のことです。

2018年3月 エブリー 持分法適用 メディア
2018年2月 大和証券グループ JV 金融(資産運用)
2018年3月 日本エンブレース 資本参加 ヘルスケア
2018年2月 ラック JV セキュリティ
2018年3月 ティアフォー 資本参加 自動運転
2017年12月 ispace 資本参加 宇宙
2017年11月 イーオンHD 買収 教育
2017年11月 inagora 資本参加 EC
2017年10月 野村総合研究所 JV SIer
2017年8月 REPLAY KOIF投資
2017年8月 ソラコム 買収 IoT
2017年7月 Momentum 買収 アドテク
2017年5月 Telexistence KOIF投資 ロボット
2017年5月 XSHELL KOIF投資 IoT
2017年3月 CDNetworks 売却 CDN
2017年3月 イタンジ KOIF投資 不動産
2017年2月 Loco Partners 買収 EC(旅行)
2017年2月 ナノエッグ KOIF投資 バイオ
2017年1月 アイレット 買収 クラウド
2016年12月 Liquid 資本参加 金融(決済)
2016年12月 ビッグローブ 買収 ISP
2016年11月 運動通信社 KOIF投資 メディア
2016年10月 モバオク 買収 EC(モール)
2016年8月 エナリス 資本参加 電力
2016年8月 Mist technologies 売却
2016年6月 Connehito 買収 メディア
2016年5月 ハコスコ KOIF投資 VR
2016年4月 AppBroadCast 買収 ゲーム
2016年4月 Loco Partners KOIF投資 EC(旅行)
2015年12月 ジュピターショップチャンネル 買収 メディア
2015年12月 ログリー KOIF投資 アドテク
2015年11月 KOIF投資 教育
2015年9月 アップベイダー 買収 アドテク
2015年9月 Socket 買収 アドテク
2015年8月 つみき 売却 メディア
2015年8月 Jibo KOIF投資 ロボット
2015年6月 アイリッジ IPO IoT
2015年4月 ライフネット生命 資本参加 金融(保険)
2015年4月 ルクサ 買収 EC
2015年3月 ソフトギア KOIF投資 ゲーム
2015年3月 August Home KOIF投資 IoT
2015年2月 Monohm KOIF投資 IoT
2015年1月 Mist technologies KOIF投資
2014年10月 nanapi 買収 メディア
2014年10月 Vasily 資本参加 メディア
2014年8月 ナターシャ 買収 メディア
2014年7月 Issuu KOIF投資 パブリッシング共有サービス
2014年7月 Edmodo KOIF投資 教育
2014年7月 Pogoseat KOIF投資 EC
2014年7月 Venture Beat KOIF投資 メディア
2014年7月 リッチメディア KOIF投資 メディア
2014年6月 レアジョブ IPO 英会話
2014年6月 クリーマ KOIF投資 EC
2014年3月 グノシー 資本参加 メディア
2014年3月 YourGolf Online 買収 メディア
2014年2月 ランサーズ 資本参加 クラウドソーシング
2014年1月 つみき KOIF投資 メディア
2014年1月 AppBroadCast KOIF投資 ゲーム
2013年10月 ルクサ KOIF投資 EC
2013年9月 アイリッジ KOIF投資 IoT
2013年9月 Moxtra KOIF投資 データ共有
2013年9月 Plumzi KOIF投資 メディア
2013年8月 スケールアウト 買収 アドテク
2013年8月 5Rocks KOIF投資 解析
2013年8月 アイピー・パワーシステムズ 買収 電力
2013年7月 nanapi KOIF投資 メディア
2013年7月 MONOCO KOIF投資 EC
2013年7月 Mutations Studio KOIF投資 ゲーム
2013年7月 エボルバーコールアドバンス 買収 コールセンター
2013年6月 レアジョブ KOIF投資 英会話
2013年5月 ぴあ 資本参加 チケット
2013年4月 Origami KOIF投資 金融(決済)
2013年2月 Hailo Network Holdings KOIF投資 タクシー配送
2013年1月 3rdKind KOIF投資 ゲーム
2013年 ビットセラー 買収 コンテンツ
2013年 UBIK do Brasil Solucoes em Tecnologia 買収
2013年 UBIK Japan 買収
2012年10月 ジュピターテレコム 買収 CATV
2012年9月 北ケーブルネットワーク 買収 CATV
2012年8月 TOLOT KOIF投資 フォトブック作成
2012年6月 ジモティー KOIF投資 メディア
2012年4月 熊谷ケーブルテレビ 買収 CATV
2012年1月 シンクランチ 資本参加 ランチ交流
2012年1月 ギフティ 資本参加 EC
2012年1月 Telehouse Deutschland 買収 データセンター
2012年1月 Kleyer Real Estate 買収 データセンター
2012年 Beijing KKbar Co 買収
2011年11月 CDNetworks 資本参加 CDN
2011年7月 ノボット 買収 アドテク
2011年7月 エボルバビジネスサポート 買収 人材派遣
2011年6月 コロプラ 資本参加 ゲーム
2011年6月 ウェブマネー 買収 金融(電子マネー)
2011年3月 CNCI 資本参加
2010年12月 KKBOX 買収 コンテンツ
2010年10月 ワイヤ・アンド・ワイヤレス 資本参加 公衆無線LAN
2010年2月 ケーブルテレビ足立 買収 CATV
2010年1月 ジュピターテレコム 資本参加 CATV
2010年1月 沖縄通信ネットワーク 買収 FTTH
2009年9月 DMXテクノロジーズ・グループ 資本参加 SIer
2009年9月 DMX Technologies 買収 SIer
2009年8月 ネオス 資本参加 コンテンツ
2009年4月 JCN関東 買収 CATV
2009年4月 川越ケーブルビジョン 買収 CATV
2008年1月 中部テレコミュニケーション 買収 CATV
2008年 ネットワーク・サポート・サービス 買収
2007年11月 ラック 資本参加 セキュリティ
2007年4月 Servision 買収 レンタルサーバー
2007年3月 アクロディア 資本参加 IoT
2007年1月 東京電力の光ネットワーク・カンパニー 買収 FTTH
2006年9月 ソケッツ 資本参加 コンテンツ
2006年7月 グリー 資本参加 ゲーム
2006年3月 ジャパンケーブルネットHD 買収 CATV
2006年1月 パワードコム 買収 FTTH
2001年12月 ギガプライズ 資本参加 ISP


KDDIのM&Aのパターン

KDDIには、大きく3つのM&Aのパターンがあります。


KDDIのM&Aのパターンの1つ目は、クロスセルを目的としたCATVやFTTHの買収を2006年から開始します。

2006年までは、携帯電話の契約の純増が続いていたこととツーカーとの統合を行っていたため、大きなM&Aを行ってきませんでした。しかし、2006年頃には安定しきたためKDDIは、日本中のCATVやFTTHに関するM&Aを一気に加速させていきます。

CATVやFTTHを買収していたのは、CATV・電話・インターネットをクロスセリングをするためでした。

実は当時、CATV・固定電話・携帯電話・インターネットをクロスセルできるプレーヤーは当時誰もいませんでした。 

なぜなら、CATV・固定電話・携帯電話・インターネットまでを一貫して提供しているプレーヤーがほとんどいなかったことと、一貫して提供しているプレーヤーとしてNTTがあったものの、法的なものからクロスセルができなかったためです。

そして、2006年から始まったCATVやFTTHに関する買収は、2012年に日本最大のジュピターテレコムを買収することで終了します。

買収によってインフラを整えたKDDIは、CATV・固定電話・携帯電話・インターネットをKDDIにまとめることで割引になる「auスマートバリュー」によって、業績を一気に拡大させています。


ただ、ここでスマホの普及による「キャリアの土管化」問題が発生します。そこでKDDIのM&Aのパターンの2つ目が出てきます。


KDDIのM&Aのパターンの2つ目は、スマホにのせるコンテンツの強化のためのM&Aです。

大きくメディア・アドテク・EC・ゲームの4つの領域で買収や出資を行っています。


まず、メディアやアドテクは、子会社のSyn.ホールディングスやグノシーへの出資が挙げられます。Syn.ホールディングスでは、メディアやアドテクのベンチャー企業に投資しつつ、一部の企業は買収しています。

これまでに、nanapiや「ママリ」のConnehito、ノボットなどを買収しています。



このSyn.ホールディングスは、ソフトバンクとヤフーの成功を意識したものとも取れますが、実は世界的にアドテクやメディアをキャリアが買収しています。

例えば、アメリカのベライゾンがYahooやAOL(傘下にTechCrunchやHuffPost)を買収していますし、シンガポールのSingtelがamobeeやAdconionやKonteraを買収しています。

通信キャリアがアドテクやメディアを買収する理由は、キャリアの持つユーザーデータを元に広告の精度をあげる事ができ、広告事業の売上を伸ばす事ができているためです。

(通常、キャリアがメディアを買収するという構図なはずなのですが、ソフトバンクの場合はメディアがキャリアを買収するという逆の構図になっていて面白いですね)


メディアやアドテクを強化しつつECを強化するためのM&Aも行っています。

これまでに、ルクサやモバオクや「relax」のLoco Partnersを買収してきており、「au経済圏」の流通総額は1.28兆円まで成長してきています。楽天の流通総額が3兆円であることを考えると、その大きさが伝わるかと思います。


また、ゲームにも多数出資しており、コロプラやグリーなどIPOの打率もかなり高いものになっています。


KDDIのM&Aのパターンの3つ目は、金融に関するM&Aです。

KDDIは、携帯キャリアとして唯一、銀行を子会社に持っているほか、Masterブランドのプリペイドカードで発行しています。そこに更に、2011年にウェブマネーと2015年にライフネット生命を買収する事で、金融コングロマリットとなっています。(証券は持ってないけど)

また昨今では、Origamiやliquidなどの決済の中でもアクワイアラーの方まで出資をしており、とても興味深い展開をしています。


通信キャリアが金融サービスを持つ事例は、アフリカでVodafoneがm-Pesaを提供していたり、インドでBharti AirtelがAitel Payment Bankを提供を開始した事例があるものの、世界でもあまりありません。

ですが日本の場合、携帯料金の支払いが後払いであることがほとんどでありキャリア決済という支払い方法が普及している事、生活における通信費の占める割合が年々高まっていること、金融に入り込むことでスイッチングコストが上がるなどの思惑から、通信キャリア各社が金融分野を強化しています。

ただ、銀行まで展開しているのは、KDDIのみです。ソフトバンクはかつて、日本債券銀行(現あおぞら銀行)のスポンサーとなっていましたが、様々な理由から売却してしまいましたし、子会社だったSBIHDとも全く関係がなくなってしまっています。NTTドコモもジャパンネット銀行に出資しているものの2.32%とマイノリティーの投資になってしまっています。


と、これまでKDDIのM&Aのパターンを3つ紹介してきましたが、ここに新たに増えそうだなと思うのが、IoT領域におけるM&Aです。

その代表例がソラコムであり、法人のプラットフォームを抑えた後にどういう展開をしていくのか。


いかがでしたでしょうか。

通信キャリアのM&Aというと、ソフトバンクのイメージが強いかもしれません。しかしKDDIでは、ソフトバンクとは異なった方向性でのM&Aを行いながら、地道にインフラを固めつつその上に「au経済圏」・Syn.ホールディングスを強化することによって、新たな収益源を作ろうとしています。

今後、M&Aに5000億円をつぎ込むKDDIに期待です。

auモバイル契約数5,500万超え!「KDDI」2019年3月期本決算

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2019年05月15日 19:50

日本有数の通信サービスを提供する「KDDI」(証券番号:9433)の決算が発表されました。