世界のM&Aランキング(500億ドル以上)

2017年09月18日 18:13

今回は、世界のM&Aランキングの中でも500億ドル以上のM&Aについて見ていきたいと思います。

大きなM&Aが起きる業界はある程度決まっており、通信(合計で5656.4億ドル)、メディア(3881.6億ドル)、製薬(合計で4206億ドル)、エネルギー(合計で3368.2億ドル)、消費財(合計で1535億ドル)です。

中でも、製薬のPfizerと通信のVodafoneは買収に積極的で、Pfizerは合計で2160億ドルを、Vodafoneは合計で2630.8億ドルをつぎ込んでいます、効果については今ひとつなのが正直なところです。

そこで今回は、買収後にその企業がどうなったのか、31件の中から厳選して見ていきたいと思います。


ランキング

ランキング 期日 買収元 買収先 買収額(億ドル) 領域
1位 1999年 Vodafone AirTouch Mannesmann 2027.9 通信
2位 2000年 America Online Time Warner 1647.5 メディア
3位 2013年 Verizon Communications Verizon Wireless 1303 通信
4位 2015年 Anheuser-busch Inbev SAB Miller 1014.8 消費財
5位 2007年 RFS Holdings ABN-AMRO Holding 981.9 金融
6位 1999年 Pfizer Warner-Lambert 891.7 製薬
7位 2016年 AT&T Time Warner 854.1 メディア・通信
8位 1998年 Exxon Mobil 789.5 エネルギー
9位 2015年 Charter Communications Time Warner Cable 787 メディア
10位 2000年 Glaxo Wellcome SmithKline Beecham 759.7 製薬
11位 2004年 Royal Dutch Petroleum Shell Transport & Trading 745.6 エネルギー
12位 2006年 AT&T BellSouth 726.7 メディア
13位 1998年 Travelers Group Citi Corp 725.6 金融
14位 2001年 Comcast AT&T Broadband & Internet 720.4 メディア
15位 2015年 Royal Dutch Shell BG Group 694.5 エネルギー
16位 2014年 Actavis Allergan 684.5 製薬
17位 2009年 Pfizer Wyeth 672.9 製薬
18位 2015年 Dell EMC 660 IT
19位 1998年 SBC Communications Ameritech 625.9 通信
20位 2015年 The Dow Chemical DuPont 621.1 化学
21位 1998年 Nations Bank Bank America 616.3 金融
22位 2006年 Gaz de France Suez 608.6 エネルギー
23位 1999年 Vodafone Group AirTouch Communications 602.9 通信
24位 2004年 Sanofi-Synthelabo Aventis 602.4 製薬
25位 2002年 Pfizer Pharmacia 595.2 製薬
26位 2004年 JP Morgan Chase Bank one 586.6 金融
27位 2016年 Bayer Monsanto 566 化学
28位 1999年 Qwest Communications International US WEST 563.1 通信
29位 1998年 Bell Atlantic GTE 533.6 通信
30位 1998年 BP Amoco 530 エネルギー
31位 2008年 InBev Anheuser-busch 520 消費財

Vodafone

Mannesmannは当時、ヨーロッパで果敢にM&Aを行なっていたドイツを拠点とした通信キャリアであり、イギリスへの進出も伺っていました。

一方、Vodafoneもイギリスを拠点とした通信キャリアで、アメリカを拠点とした通信キャリアであるAirTouch Communicationsを買収していました。しかし、このままであるとMannesmannに買収されるとの思惑からVodafoneから買収を仕掛け、見事成功します。

このAirTouch Communicationsは後に、Verizon Communicationsと合弁となるVerizon Wirelessとなりますが、2013年にVerizon Communicationsにに売却。

Vodafoneは、合計で2630.8億ドルもの資金を買収につぎ込んだものの、時価総額は754.8億ドルにとどまっています。


Pfizer

製薬の場合、薬ごとに特許期間があり、1つ当たると数年間にわたって売上を立て続けることができます。中でも、1年間で10億ドル以上の売上を立てる薬を「Blackbuster drug」といい、Pfizerはこの「Blackbuster drug」を持つ製薬を立て続けに買収していきます。このように、優れた薬を持つ会社を立て続けに買収していくビジネスモデルをファイザーモデルと呼ばれることもあります。

その結果、500億ドル以上の買収を3件手がけ、合計で2160億ドルもの資金をつぎ込みます。(もちろん500億ドル以下の買収も多数手がけているので、もっといくと思います。)

ですが、日本の研究所をラクオリア創薬としてスピンオフしたり、動物・植物向け薬をZoetisとしてスピンオフするなどリストラを続けているものの、現在の時価総額は2105.7億ドルにとどまっています。


Citi

Citiを買収したTravelers Groupは、Sandy Weillが、American ExpressのCEOを辞職した後に、消費者金融を買収したことからスタートした金融機関で、生命保険・損害保険・投資銀行(Salomon Smith Barney)を買収することで巨大なノンバンク帝国となります。

一方、Citi CorpはJohn Reed率いる商業銀行でしたが、当時勢いのあったTravelers Groupに買収されます。しかし、合併当時は、商業銀行と投資銀行は分離して運営しなければいけないというグラス・スティーガル法に違反した状態での合併でしたが、その後すぐにグラム・リーチ・ブライリー法というグラス・スティーガル法を無効にする法律が制定されたことで、違法状態から解消されました。

この合併により、Citiは世界最大の時価総額を持つ全ての金融商品を扱うスーパーのようになりますが、損害保険事業はTravelersとしてスピンオフ、生命保険事業もMetLifeに売却されます。


Anheuser-busch Inbev

Anheuser-busch Inbev は、様々な企業が合併して生まれた企業であるものの、主導してきた企業のは、Carlos Brito率いるブラジルを拠点としたAmBevでした。そして、そのAmBevのバックにいるのが、3G CapitalとWarren Buffetです。

これまでに、合計で1534.8億ドルを買収につぎ込み、現在の時価総額は2045.8億ドルとなっています。(500億ドル以下の買収も多々あるのでもう少し多いかなと思います。)






まとめ

いかがでしたでしょうか。

一見輝くしく見える大規模なM&Aですが、正直上手くいったと言えるディールは限られると思います。

それは、PMIなのかもしれませんし、そもそも構想が間違っていたのかもしれません。

今回は、4社しか取りあげませんでしたが、他の企業のM&Aの実績についても、どこかでみていきたいと思います。

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