日本M&AセンターのM&A仲介プロセスの内容とコストの内訳

2017年04月18日 11:58

日本M&Aセンターの業績が好調だ。2016年3月期の売上高は147億円、経常利益71億円に達している。


日本M&Aセンターは子会社2社、関連会社3社を有し、M&A仲介業務を主な事業としている。グループの売上分類としては「M&A仲介事業」「その他の事業」の2つに分類される。

M&A仲介事業

「中堅中小企業のM&A仲介業務の全国的展開」が特徴。

そのために、優良な案件情報を継続的・安定的に入手するのがポイントであり、次のような全国的情報ネットワークを構築している。

・各地域の会計事務所が運営する地域M&Aセンター(全国660拠点)

・地銀、第二地銀(98行と業務提携)、信金(197金庫と業務提携)などの地域密着型の地域金融機関

・東京と大阪をはじめとする全国の商工会議所

・その他、証券会社、ベンチャーキャピタル、コンサルティング会社など


子会社の(株)企業評価総合研究所は日本M&Aセンターから企業評価に関わる業務を受託している。

近年では、後継者問題解決のためのM&A仲介に加え、以下のような関連サービスを提供。

・企業再生支援:債務超過などに陥っている企業の再生のため、スポンサー企業の選定などを行う

・企業再編支援:企業価値を向上させるために「事業の選択と集中」や「合従連衡」戦略の実施を手助け。合併や会社分割、持株会社化など

・MBO:子会社を切り離す際、子会社の社長が親会社から株を買い取るMBOを支援

その他の事業

各地域の会計事務所が運営する地域M&Aセンターにおいて、会員組織の運営(会費収入)などがある。

M&A仲介業務の流れ

以下は有価証券報告書より、M&A仲介の流れ。

①マーケティング

優良な譲渡企業の開発、すなわちマーケティングが最重要テーマらしい。そのために、先にあげた全国ネットワークに加え、各種セミナーの共催や研修を通じて案件開発を促進。

近年はホームページからダイレクトに相談されるケースが増えており、ダイレクトマーケティングにも注力しているとのこと。

②譲渡企業の受託審査

譲渡企業から相談されると、譲渡可能性、理由、案件の信頼性、概算価格などを検討し、受託審査を実施。受託審査を通過すると、「提携仲介契約」を結び、着手金として通常100-300万円を受領する。

③譲渡企業の評価(案件化)

次に、譲渡企業を正確に把握し、買い手企業への提案のための資料を作成する(「案件化」)。案件化では以下の作業が中心になる。

・ 企業情報資料の収集(会社案内、登記事項証明書、決算書など)

・ インタビューシートの作成(定性情報)

・ 企業価値参考価格の算定

・ 買い手企業への提案書(企業概要書など)の作成

その上で、買い手企業候補をリストアップし、譲渡企業の経営者とともに選定する。

④買い手企業への提案

選定された買い手企業候補に対して実際に提案を行う。

最初は企業名をふせ、A4一枚程度の「ノンネーム企業情報資料」により提案。

買い手企業がさらなる検討を希望した場合、「秘密保持契約」を結んだ上で企業名・業績・業界特性などが記載された「企業概要書」を提出。

買い手企業が本格的なM&A検討を希望したら、買い手側とも「提携仲介契約」を結び、着手金として通常100-500万円を受領

⑤各種交渉と提携の調整

最後に、譲渡側と買い手側の交渉・契約内容の調整と進捗管理を行う。

ここでは両者の面談、現場見学などにより企業文化や経営者の人間性の相互確認を促進しながら、買収条件の調整を行う。

この中でリスクや企業価値の確認を行う「買収監査(デューデリジェンス)」を実施。通常は公認会計士が決算書から「資産の実在性」「負債の網羅性」を調査する。

買収監査の結果に基づき、最終的な条件交渉が行われ、最終契約締結時に譲渡企業の株式を買い手企業が経営権とともに取得する。

日本M&Aセンター側はこの作業が終了した時点で、時価総資産に料率を乗じた「成功報酬」を受領。料率は企業規模が大きくなるにつれて逓減するレーマン方式のテーブルを用いる。成功報酬の受領後、案件の紹介者に対して紹介料を支払う。


連結従業員の状況

グループ全体で258名おり、そのうち240名が営業本部・総合企画本部。

18名が管理本部・経営企画室・内部監査室に従事。

日本M&Aセンター本体の平均年齢は34.7歳、平均年間給与は1237万円。


販売実績の内訳

ほとんどM&A仲介業務からの売上。M&A仲介業務の内訳(成功報酬の割合とか)が知りたいところだが、それは知ることができなかった。


コストの内訳

コストについても少し掘り下げておこう。売上高147億円に対して、売上原価は54億円、販管費は24.5億円と、両方合わせて半分程度に収まっており、極めて利益率が高いと言える。

売上原価54億円のうち、人件費が27.8億円、経費が26.3億円。

人件費のうち給与が23億円、賞与が1.37億円。

経費のうち、21億円が案件紹介料で4億円が旅費交通費。

販売管理費については、24.5億円のうち役員報酬が2.4億円、地代家賃が2.6億円、広告宣伝費が5.2億円など。

ざっくりとではあるが、グラフにしてみる。

売上原価と販管費の合計77.7億円のうち、人件費が27.8億円で36%、紹介料が21億円で27%ほどを占めている。この二つで過半数を超えるわけか。

経営計画ではコンサルタントの積極採用と人材育成(「300日で一人前プロジェクト」など)に取り組む、とあるのでそれらへの投資がうまく業績に繋がるかどうかが今後の注目ポイントと言える。

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