ワインの王様「バローロ」を飲める居酒屋「天狗」運営会社のテンアライド

2017年06月22日 12:36

こんにちは。人事異動の季節、忘年会・歓送迎会のシーズンに欠かせない居酒屋を取り上げたいと思います。

テンアライド(8207)と言ってもピンときませんが、"天狗"という居酒屋を目にした方もいるかと思います。

ワインの王様の代名詞を持つ「バローロ」(フルボトル)を4,000円程度で飲めるなんて、なかなかありません。今日は、天狗を運営するテンアライド(8207)を見てみたいと思います。


1: 企業理念 - 良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で -

テンアライドの企業理念は、(1)良いものを安く、(2)早く、(3)清潔に、(4)最高の雰囲気でと掲げているように、お客様を重視する姿勢が伺えます。通常、こういった姿勢が前面に出ると、滅私奉公的に、従業員に厳しく、お客様のために、という雰囲気が想像できますが、他の居酒屋チェーンは深夜遅くまで店が開いていることが多いですが、テンアライドが運営する天狗は、深夜営業していないので、従業員にも優しい会社であることがうかがえます。また、2017年12月31日(大晦日)に全店一斉休業を設けたことで、一時期、ニュースにも取り上げられていました。

なお、IRのニュースレターによると、3月に組織変更があり、「海外出店準備室」が「海外戦略室」に名称変更されたので、"海外"がより現実的なものになってきているのかもしれません。

(会社ウェブサイトより)

2: 沿革 - 紆余曲折からの本業注力 -

テンアライドは、当初、天狗チェーン株式会社として1969年12月に東京都豊島区西池袋に設立されました。同年、「天狗」1号店が池袋西口店オープンしました。1974年にセントラルキッチンを世田谷区北鳥山に開設し、1977年に、社名を現在のテンアライドに変更します。

1986年に日本証券業協会に株式を店頭登録店頭登録(1999年に東証二部に上場、1995年に東証一部に指定替え)しました。店頭登録前後から、大阪、福岡、京都に店舗をオープンさせ、さらに、1988年に酒類の輸出入販売を目的として、100%出資のテンワールドトレーディングを設立したりします。

歴史が長い(1969年創業!!)テンアライドについて、株式上場後の90年代以降を、有報から読み解くと、以下のように3つの時期に分類できるかなと思います。

店舗・業容拡大の90年代

この時期、中華ファミリーレストランやクリーニング業といった他ジャンル、他業種に進出します。また、地方都市(福井、新潟、浜松等)の駅前にも出店します。

試行錯誤の00年代

社員フランチャイズ店の開店からの直営店への切り替え、クリーニング業からの撤退、鳥専門店のオープン(1年で閉店)と、色々と試みるものの迷走している2000年代であることが伺えます。一方で、新業態「旬鮮酒場」や「テング酒場」はこの時代に誕生し、これらブランドは、現在も継続しています。

選択と集中の10年代

東北・信越・北陸地区から撤退する一方で、セントラルキッチンを埼玉に新たに開設したりしています。


一時期、紆余曲折・迷走していたように見て取れますが、現状は、本業に回帰・注力しているように思われます。


3: 業績 - 売上は横ばい -

連結売上高・営業利益の推移を見てみたいと思います。

興味深いことに、売上高はほぼ横ばいであるものの、営業利益は回復してきているものの、トントンといったところでしょうか。 


売上がほぼ横ばいであるにも関わらず、営業利益にブレが見られますので、営業利益までを百分比率にして、費用構造をみてみたいと思います。飲食店の要である食材や飲料が含まれる売上原価は売上高の3割程度で推移しています。一方で、人件費が4割程度、地代家賃が1~2割程度であることを読み取れます。飲食店と言っても、食材よりも、人件費のほうが高いことに改めて驚かされます。


4: 売上は横ばい、でもその中身は?

売上が横ばいであることは先ほど見たとおりですが、ビジネスは何も変化していないのでしょうか?将来の成長、会社の方向性を読み解く上で何かヒントがあるのではないかと思い、売上を要素分解してみようと思います。

売上高は、利用客の観点から、席数の観点から、店舗数の観点からそれぞれ売上 = 利用客 x 平均単価売上 = 店舗数 x 一店舗当たり売上高売上 = 席数 x 一席当たり売上高といったように分解することができます。


まず、売上高、利用客数、店舗数、席数の推移をそれぞれ見てみたいと思います。

2012年3月期を100とした場合、2017年3月期の売上高は99、利用客数は108、座席数は92、店舗数は100です。利用客数は伸びているものの、売上高・店舗数は横ばい、一方で座席数は縮小と読み取ることができます。


次に、平均単価(売上高÷利用客数)、一席当たり売上高(売上高÷座席数)、一店舗当たり売上高(売上高÷店舗数)を見てみたいと思います。あわせて、一席当たり利用客数(利用客数÷座席数)も見てみます。

同じく2012年3月期を100とした場合、2017年3月期の平均単価は92と減少傾向にあり、一店舗当たり売上高は99とほぼ横ばいですが、一席当たりの売上高・利用客数を見た場合、それぞれ104、113といずれも増加傾向にあります。一席当たりの指標が増加傾向にあることから、設備(座席)を効率よく活用してい事がわかります。


会社のIRのサイトより月次売上高の推移を把握することができますが、いずれの年も12月は忘年会シーズンを受けて他のどの月よりも増える一方で、2月は営業日数が他の月よりも少ないことから落ち込んでいることがわかります。

なお、平均単価は1,600円弱ですが、これは、ランチ営業の売上も含まれているため、夜の営業の単価が1,600円というわけではないので、注意が必要でしょう。



5: 資産の推移 - 大きな変化見られず -

資産の内訳とその推移を見たみたいと思います。  

テンアライドの資産の推移を見てみると、投資その他の資産の割合が4割強で推移しており、その多くは、敷金及び保証金です。資産は若干縮小傾向にあるものの、資産構成に大きな変化がないことがわかります。



6: 負債・純資産の推移 - 利益剰余金のマイナス幅拡大傾向 -

次に、負債の推移を見ていきます。

2016年3月期に一時的に負債が増えていますが、これはリース債務が増えたことによるものです。その主な要因について、有報を見てみると、2016年3月にセントラルキッチンを新たに開設したことに伴う食品生産設備であることがわかります。



純資産の推移を見てみると、2015年3月期より、毎期利益剰余金がマイナスで推移・拡大していることがわかります。これは、設備・店舗の刷新に伴う減損損失の影響もあります。


7: キャッシュフローの推移 - セントラルキッチン開設に伴う投資CF/FCF悪化 -

最後に、キャッシュフローの推移を見てみると、投資キャッシュフローは一貫してマイナスです。2016年3月期の投資キャッシュフロー・フリーキャッシュフローのマイナス幅が大きい主な要因は、セントラルキッチンの開設によるところが大きいと思われます。



8: 終わりに - お得な株主優待制度の紹介 -

テンアライドの売上高はほぼ横ばいであるものの、一席当たりの指標が増加傾向にあることから、設備(座席)を効率よく活用していることがうかがい知ることができました。

利益剰余金のマイナスが拡大しつつありますが、無料飲食券(1枚500円相当)に一回あたりの利用枚数に制限はないため、株主優待制度は美味しいと思います。

持株数 100~499株:1,000円相当(年間2,000円相当)無料飲食券

持株数 500~999株:5,000円相当(年間10,000円相当)無料飲食券

持株数 1,000株以上:10,000円相当(年間20,000円相当)無料飲食券

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