定期課金・サービス収入が2倍の成長!デリバリーやローンなどが急成長「Square」2018年Q1決算まとめ

2018年05月06日 16:17

今回は、アメリカで決済サービスを展開する「Square」の最新決算についてまとめていきたいと思います。



発表されたのは、2018年Q1(1月〜3月)分で、ハイライトは次の4つです。

・売上高は前年から45%増加し、調整後収益は51%増加。前四半期はそれぞれ36%、47%の成長だった。

・「Weebly(ウェブサイト作成ツール)」と連携し、売り手の事業をオムニチャネルな形で成長するための一つの密なソリューションを提供。

・より大規模は売り手がSquareを使い始めている。大規模は売り手のうち、半分以上がSquare製品を二種類以上使っている。

・Squareにおいて最も速く成長している「Instant Deposit」と「Cash」アプリをイギリスで公開。


その他の業績です。

総決済高(GPV)は178億ドルとなり、前年同期から31%の増加。

純損失は2400万ドルに拡大。調整後EBITDAは3600万ドルと、前年からは拡大しています。

(EBITDAは、営業利益に減価償却費など現金流出を伴わない費用を足し戻した利益指標)


今回のエントリでは、発表されたSquareの事業数値がどうなのか、より過去のデータまでさかのぼって見ていきたいと思います。


四半期売上高の推移

まずは、四半期売上高の推移を、売上種別ごとに見てみましょう。

売上のほとんどは取引手数料(Transaction-based revenue)であり、直近では6億6860万ドルの売上のうち、5億2304万ドルを占めています。

割合ベースでも見てみましょう。

スターバックスとの提携を解消して以降、取引ベース収益の比率は89%まで上昇しました。

しかし、徐々に定期課金・サービス収益(Subscription and services-based revenue)の売上が大きくなり、直近では収益の14.5%を占めています。

その結果、取引ベース収益の比率は78.2%にまで低下。


また、今期からビットコイン収益(Bitcoin revenue)が3410万ドルを売り上げ、全体の5.1%を占めています。その内容は次の通り。

Squareが展開する送金アプリ「Cash App」では、ビットコインも買うことができるのですが、その販売高をビットコイン収益として計上しているようです。

ビットコインの販売高3410万ドルに対して、仕入コストは3390万ドルなので、粗利(Squareは調整後収益としています)は20万ドル。

手数料比率としては0.59%ということになりますから、かなり良心的です。


さて、主な収益の前年成長率を計算してみます。

メインの売上である取引ベース収益は、少しずつゆるやかになりながらも前年比29.6%の高い成長率を保っています。

一方、定期課金・サービス収益の前年成長率は、一貫して100%前後。前年から2倍という超高成長をキープしているようです。

実際、売上推移のグラフから、取引ベース収益以外を取り出してみると、定期課金・サービス収益が着実に増大しています。

直近では9000万ドルに。このままいくと、年に4億ドルの売上にはなりそうですから、これだけでもかなりの事業です。


GPVとテイクレート

続いて、Squareの収益について別の角度から考えてみましょう。

まず、総決済高(GPV)の推移を見てみます。

年末にヤマができる傾向はありますが、全体として増大を続けています。

直近では178億ドル、年間7兆円を超えるペースで決済されています。

こちらも、前年からの成長率を見てみましょう。

徐々に成長がマイルドになってはいますが、まだ前年比30%の高成長をキープしています。

テイクレート(GPVに対する取引ベース収益の割合)についてはどうでしょうか?

テイクレートは減少傾向で、直近では3%前後となっています。

決済端末は競争も激しく、導入する事業者にとっても手数料の高さは死活問題となるため、この比率を上げていくことは現実的ではなさそうです。

急拡大を続ける定期課金・サービス収益

テイクレートの増大を見込むことは難しいため、Squareが取引ベース収益を拡大していくためには、ひたすらGPV(取引高)を増やしていくほかにありません。

もちろん、GPV自体もこれから成長を続けていくことでしょうが、それだけだと成長速度がゆるやかになっていくことを避けられません。


そんな中で急成長しているのが、先ほど見たように「定期課金・サービス収益」です。

この成長を牽引しているのは「Instant Deposit」「Caviar」「Square Capital」の三つ。

「Instant Deposit」は、Square上にある売上を、紐付けてある銀行口座などに即座に移動させることができるサービス。

金額に対して1%の手数料を支払うことで利用することが可能ですが、1日以上待てるなら無料で出金するオプションもあるようです。

Square Cash will guarantee instant deposits — for a fee

二つ目の「Caviar」は、2014年8月に買収したフードデリバリーサービス。

Square Acquires Caviar

ホームページ

Caviarは地元のベストなレストランのメニューを配達することで、レストランの本領である「美味しいご飯を作ってお客さんに届けること」を最大化することを目指しているそうです。

三つ目の「Square Capital」は、Squareが決済端末の利用者に向けて提供している貸金サービスです。

ホームページ

Square側は、事業者の売上やキャッシュフローなどの事業サイクルについてデータを集めることができるため、ローンを提供する際のリスクもかなりの精度で迅速に審査することが可能。

事業者側としても、いつも使っている決済端末から申し込めばいいので利用が簡単で、審査も迅速。

返済はSquareでの売上から自動で引き落とされるため、両者にとって確実ですし、手間がありません。

2018年Q1だけで5万を超える事業者向けローンを組成し、総額3億3900万ドル(前年+35%)にのぼっているとのこと。


利用の優先度としては「Instant Deposit」> 「Square Capital」になるはずですから、Instant Depositの方がさらに伸びているのかもしれません。デリバリーもすごそう。

Squareの戦略としては、メイン事業である決済端末導入による事業成長を着実に進めつつ、即時出金やローンなどの周辺サービスをつなげることで事業成長を加速し、なおかつ盤石にしていくという形と言えます。


2018年の注力:オムニチャネル化

冒頭にも出てきたホームページ作成ツール「Weebly」との連携の話も見ておきましょう。

Weeblyは、ウェブサイトだけでなくオンライン・ストアの作成が簡単にできるツール。

Squareは、2018年の注力を「オムニチャネル・コマース」としています。店舗販売とオンラインなど、顧客に対して複数の購入経路を用意する形式です。

創業当初は決済端末による対面販売からスタートしたSquareですが、これからは販売事業者がオンラインやアプリなど、あらゆるチャネルで臨機応変に販売できることが重要であるとしています。

平均すると、オムニチャネルを活用する購入者は、単一のチャネルで買い物する人に比べて3.5倍も購入頻度が高いとのこと。

Squareは、事業者のオムニチャネル化を一つの統合されたプラットフォームで提供できるようなソリューションを作っているとのこと。

Weeblyについても冒頭では「連携」と書いてありましたが、これから買収するということで合意に達したようです。

それにより、Squareを利用するレストランや小売店舗などが、Squareと連携する形でオンライン店舗を簡単に出すことができるようになります。

Weeblyには62万5000人を超える有料課金ユーザーがおり、そのうち40%近くがアメリカ国外。Squareの海外進出にも寄与するであろうとのこと。



財政状態の変化

最後に、Squareの財政状態についてもチェックしておきます。

総資産は直近で23億7961万ドルに達しています。

そのうち流動資産が19億9000万ドルとほとんどの割合をしめ、さらにそのうち現金同等物は7億3859万ドル。

資産の調達源泉である、バランスシートの反対側(負債と自己資本)の項目を見てみましょう。

払込資本(Additional paid-in capital)が16億8258万ドルと大きく、株式発行を主な資金調達源としてきたことが分かります。

その他、長期借入金(Long-term debt)として3億6296万ドルありますが、累積損失(Accumulated deficit)として8億7130万ドルを溶かしています。


未だ赤字は続いているものの、営業キャッシュフローは3年連続でプラスとなっています。

これはすなわち、事業単体でお金を稼ぎ出すことはできているということです。

しかしながら、投資活動を含めるとお金が足りないため、財務活動で補うというキャッシュフローです。

直近四半期はどうでしょうか。

右列が2017年Q1、左列が2018年Q1のキャッシュフローです。

営業キャッシュフロー(上側)は5205万ドルを稼いでおり、引き続きプラスです。

それに対して投資キャッシュフローは1549万ドル。

営業キャッシュフローから設備投資額を差し引いたFCF(フリーキャッシュフロー)は4397万ドルということで、しっかりプラスです。

実際には、前年の2017年にも一年を通じてフリーキャッシュフローがプラスに転じています。

これはつまり、Squareが設備投資などの支出額を含めても現金を稼ぎ出せるようになったということで、今後は借入などの資金調達に頼らなくとも、事業を継続できるまで成長したことを意味しています。

その上に、前年比45%の売上成長率ですから、それは市場からの期待は高まります。

Squareの時価総額は194億ドルですから、ほぼ2兆円。

2017年のフリーキャッシュフローが1億ドル程度だったことを考えれば、一般的には割高の水準です。

ただ、今後の成長性を考えれば、現在の価値が合理化されるのは時間の問題。

決済端末を中心に、多様なサービスを展開するSquareが、これからどんな成長を見せてくれるのか、今年も楽しみにチェックしていきたいとおもいます。