消費財メーカーとして営業利益率20%もあるP&Gの歴史と事業KPIの分析

2017年09月19日 15:51

今日は世界最大の消費財メーカーとして知られるP&Gについて調べたいと思います。

P&Gにはシャンプーで知られるパンテーン、芳香剤のファブリーズ、お子様向けのパンパース、柔軟剤のダウニー、髭剃りのジレットなど、数多くのブランドを傘下に抱えています。

P&Gの歴史

P&Gの歴史は古く、1837年にまでさかのぼります。

イングランドからの移民だったウィリアム・プロクターと、アイルランドからアメリカに渡ったジェームズ・ギャンブルの二人は、アメリカの西部を目指して移動していましたが、それぞれの事情により断念。

どちらもシンシナティ州のクイーン・シティに落ち着き、ウィリアムはキャンディ作りを、ジェームズは石鹸作りによって生計を立てます。

ウィリアムとジェームズの妻は互いに姉妹であり、彼女たちの父親が義理の息子たちにビジネス・パートナーになるように持ちかけます。これが1837年であり、プロクター&ギャンブルの設立となります。

しばらくパートナーシップとしての運営が続いた後、1890年には外部資金も調達。

当初は石鹸メーカーとしての側面が強かったものの、1930年ごろから買収による事業拡大を加速し、現在のような形になりました。

主な買収・売却案件について調べたのですが、以下の31項目が見つかりました。

発表日 対象社名 取引額 種類 対象社の概要(ジャンル、事業領域など)
2016年2月 Duracell(to Berkshare Hathaway) $4.7B 売却 電池ブランド
2015年10月 Dolce & Gabbana beauty license(to 資生堂) 売却 化粧品、香水のライセンス
2015年7月 Max Factor,Cover Girl等43のブランド $12.5B 売却
2015年3月 Vicks 売却 市販薬
2014年 DDFSkincare 不明 売却
2014年4月 Iams, Eukanuba and Natura pet food brands in all markets except Europe $2.9B 売却 ペットフードブランド
2012年 Pringles(to Kellogg's) $2.75B 売却 スナックフード
2010年5月 Natura Pet Products 買収
2009年12月 MDVIP 買収 富裕層向け個人医療サービス
2009年12月 Ambi Pur $470M 買収 芳香剤のブランド
2009年8月 prescription-drug busines(to Warner Chilcott) $3.1B 売却
2009年6月 Zirh $40M 買収 高級男性化粧品ブランド
2009年6月 The Art of Shaving 買収 高級髭剃り用製品ブランド
2008年9月 Nioxin Research Laboratories $300M 買収 ヘアケア商品の開発と製造。髪質を細くする製品も含む。
2008年 Noxzema(to Alberto-Culver ) 売却 スキンクリーム製品(2010以降はユニリーバのブランド)
2007年1月 DDFSkincare 買収 皮膚科医によるスキンケア商品
2005年 the Dolce& Gabbana license 買収
2005年1月 The Gillette Company $54B 買収 剃刀製品のブランド
2003年3月 Wella AG $5.9B 買収 ヘアケアブランド
2001年 The licence of Lacaste fragrance 不明 買収 ラコステのフレグランスライセンス
2001年11月 P&G-Clairol $4.95B 買収 ヘアカラーブランド
1999年10月 Recovery Engineering 買収 飲み水用フィルター等の販売
1999年9月 Iams 買収 犬や猫用のペットフード
1997年7月 Tambrands 買収 生理用タンポン会社
1994年7月 Avon-Giorgio Beverly Hills $150M 買収 フレグランス製品の販売
1991年 Max Factor(from Revlon) $1.5B 買収 化粧品ブランド
1990年6月 Old Spice $300M 買収 男性用身だしなみ製品(デオドラント、ボディウォッシュなど)
1989年11月 Noxell Corporation $1.3B 買収 家庭用用品ブランド(Cover Girl=コスメブランドなど)
1985年1月 Richardson- Vicks 買収 a provider of Pantene, Oil of Olay, Vidal Sassoon and Clearasil products
1963年1月 Folgers Coffee 買収 a manufacturer of consumers food and beverage products.
1930年1月 Thomas Hedley Co 買収 石鹸と蝋燭の製造


今や代名詞とも言える「パンテーン」シリーズを有したリチャードソン・ヴィックスを買収したのは1985年、シェービングブランドとして有名なジレットの買収は2005年のことでした。

2012年にはポテチのプリングルズをケロッグに売却したり、ドルチェ&ガッバーナの美容ライセンスを資生堂に売却したりと、事業の分割が進んでいます。

2016年に電池メーカーであるDuracellをウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイに売却しています。

Duracellはもともと、P&Gが2005年にジレットを買収した時にジレットの子会社として一緒に手に入れた事業でした。

近年、スピンアウトによる再編を進めていく中で、もともとジレットに投資していたバークシャー・ハサウェイに事業を売却するというのは興味深いですね。

また、この取引ではバークシャーが持っていたP&G株式と引き換えにDuracellを売り渡す、という形になっているのも特徴的です。

全体の業績

次に、全体の業績を見てみます。

2000年頃の売上高は400億ドル前後でしたが、2008年までに800億ドルを超えるまで大きく成長。

近年は事業売却やスピンアウトを積極的に行なっていることもあり、売上は650億ドルまで減少していますが、営業利益率は安定して15%以上をキープしています。

コスト構造

消費財というどう考えてもコモディティなジャンルの製品を販売していて20%の営業利益率があるというのは尋常なことではありません。

そこで、次はコストの対売上比率をみてみます。

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