2018年10月05日 18:00

国民2,398万人の医療データを保有!医療機関に経営支援システムを提供する「メディカルデータビジョン」

今回取り上げるのは、医療機関向けに経営支援システムを提供するメディカルデータビジョンです。

創業者の岩崎博之氏は、1960年群馬県生まれ。

1986年に新日本工販(現フォーバル)に入社したのち、マルチメディア系の会社を中心に転職を重ねます。

幅広くスキルを身につけたことで給料も高くなりましたが、やがて「何のために働くのか」という疑問を持つようになります。


人を喜ばせること、中でも「世界中の人を幸せにすること」が究極の喜びだと考えた岩崎氏は、幸せのベースである「健康」に関する事業をしたいと考えるようになります。

そのような考えのもと、2003年に創業したのがメディカル・データ・ビジョンです。


病院に保管される医療情報が十分に活用されていないと感じていた岩崎氏は、「医療データを蓄積しそれを活かして医療の質を高める」というビジョンのもとに医療機関向けの経営支援システムを開発。


創業して5年間は毎月赤字で、累積損失は一時期9億円に達したそうです。

企業当初には5年で上場するつもりだったのが11年かかって2014年にマザーズ市場に上場。2016年に東証一部に市場変更しています。

業績を見てみましょう。

2011年の売上高は9.7億円でしたが、2017年には32.2億円に増加。

経常利益率も2011年の3.5%から、2017年には17.5%と大きく上昇しています。


今回のエントリでは、苦労の果てに築き上げた高収益企業「メディカル・データ・ビジョン」についてまとめてみたいと思います。


病院向けに経営支援システムを提供する「データネットワークサービス」

メディカル・データ・ビジョンの土台となっているのが、医療機関向けに提供する「データネットワークサービス」です。


医療機関向けの経営支援システムとして、「EVE」「MedicalCode」「CADA-BOX」という三つの主要サービスを展開しています。

① EVE

EVEは、高請求とDPC請求の差額分析、患者数・在院日数・医療資源などの各種指標を疾患別・症例別に分析するDPC分析ベンチマークシステムです。

「DPC(Diagnosis Procedure Combination)」とは「包括医療費支払い制度」のことで、2003年に導入された新しい診療報酬の計算方式のこと。

従来の方法では「どんな医療行為を行なったか」という「出来高」から算出されますが、DPCでは一部の病名について、「1日あたりの入院点数 x 日数」という「包括」的な計算方法が取られます。

DPCを導入するには厚生労働省による認可が必要であり、2018年4月1日時点では1,730病院がDPCの対象となっています。


さて、病院はEVEを導入することで、ほかの病院との経営状態を比較でき(ベンチマーク機能)、自院の強み・弱みを把握した上で経営方針を考えることができます。

機能の一例

提供価格はハード代込みで400万円、保守費として月額5万円とのこと。

2006年にサービスを開始し、現在の導入病院数は802院。

1,700院以上ある「DPC対象病院」のうち45%が導入していることになります。


② MedicalCode

MedicalCodeは、DPCデータを活用して病院内のさまざまな経営課題を解決するサービスです。

原価計算をはじめとした経営データを病院内で共有し、意識改革や行動の変革を誘発し、経営改善につなげます。

MedicalCodeは2009年よりサービスを開始し、直近では269病院が導入。

こちらの導入費用は810万円、月額の保守代金は10万円とのこと。


③ CADA-BOX

CADA-BOXは、2016年9月に開始した病院向けデジタル健康ソリューションです。

患者と共同して利用することで、「医療サービスに満足しない理由」のトップ3である「待ち時間」「医師の説明」「治療費」の三つを解決します。

CADA-BOXを導入している企業に来院する患者は、「CADA」という医療情報統合IDカードを受け取ります。

医療機関は、CADAに紐づいた患者の診療情報を一元管理することができ、オンラインカルテサービス「カルテコ」で自分の診療記録をチェックすることもできます。

カルテコ

カルテコを利用することで、先に挙げた「三つの課題」のうち「医師の説明」を効率化することができます。

そして、残り二つ「待ち時間」「治療費」を解決するのが、医療費の後払いサービス「CADA決済」です。

CADA払いサービス

「CADA決済」は完全自由返済型の「後払い」サービス。

利用日から40日間は手数料無料で、分割払いの手数料も月1%となっています。

CADA決済によって医療費を後払いにすることで、患者は診療が終わった後にすぐに帰宅することができます。

支払いタイミングを柔軟にすることで、患者との関係性強化にも役立ち、システム化しているので未回収金問題への対策も可能となります。


「CADA-BOX」を導入している病院は11院のみと、現時点(2018年10月)では非常に少ないようです。

CADA払いに対応している病院は4か所のみ。


製薬会社などにデータを提供する「データ利活用サービス」

「EVE」「MedicalCode」などのデータネットワークサービスにより、メディカルデータビジョンのプラットフォーム上には2,398万人もの患者の医療データが蓄積されています。

この続きを読むには

ここから先をお読みいただくには、
Stockclipサポート会員にご登録いただく必要があります。

30日間無料キャンペーン実施中!


無料で続きを読む
または
ログイン
この記事に関するキーワード
メディカル・データ・ビジョン
2017年12月03日 13:34

介護と医療分野を柱に40以上のサービスを展開してきたインターネット企業、エス・エム・エス

エス・エム・エスの創業と展開サービス
企業理念と基本戦略
キャリア事業
医療・ヘルスケア・海外事業
今後の中長期戦略
まとめ

今回は、介護、キャリア、医療、シニアライフなどの分野で数多くのインターネットサービスを展開しているエス・エム・エスについて調べます。


エス・エム・エスの創業と展開サービス

2019年02月10日 07:00

売上が10年で88倍に!?糖尿病向けデバイスを販売する「Dexcom」

売上が10年で88倍に!?糖尿病向けデバイスを販売する「Dexcom」
2017年には売上7.2億ドルにまで増加、営業損失は4,250万ドル
採血なしで血糖値を測定可能、血糖値をアプリやウェアラブル端末で確認することもできる
売上原価(53.4%→31.5%)、フリーキャッシュフロー(FCF)は2,600万ドル
 世界の糖尿病人口は2045年までに6.29億人にまで増加、市場規模は2028年までに1,377億ドルに成長

今回はアメリカで糖尿病患者向けにデバイスを販売する「Dexcom」について見ていきたいと思います。

2017年には売上7.2億ドルにまで増加、営業損失は4,250万ドル

2019年01月26日 07:00

LINEとオンライン医療で提携!四半期売上300億円超えの「エムスリー」2019年3月期3Q決算

LINEとオンライン医療で提携!四半期売上300億円超えの「エムスリー」2019年3月期3Q決算
四半期売上が300億円を突破、営業利益率は29.9%
中国サイト会員数が250万人を突破し海外売上比率が23.2%に上昇
新規事業のセグメント利益が14億円に倍増
LINEと「LINEヘルスケア」を設立してオンライン医療への取り組みを開始

日本最大級の医療専門サイト「m3.com」などを運営する「エムスリー」(証券コード:2413)の2019年3月期3Q決算が発表されました。

2019年3月期3Q説明資料

四半期売上が300億円を突破、営業利益率は29.9%

2018年12月06日 20:00

波紋を呼んだ「ゲノム編集」ベビー誕生!究極の医療技術「CRISPR」に取り組む3社の変遷を追う

波紋を呼んだ「ゲノム編集」ベビー誕生!究極の医療技術「CRISPR」に取り組む3社の変遷を追う
「投薬」による応急処置から異常遺伝子自体の「編集」へ。遺伝子治療の市場規模は2030年に5.6兆円まで達する見込み
コトの発端は日本人研究者の論文。2012年に衝撃のゲノム編集技術「CRISPR」が発表される
研究者間の激しい特許争いが勃発。そして誕生したCRISPR企業3社
Editas Medicine: ビル・ゲイツ氏やグーグルも出資する「特許保有企業」
Intellia Therapeutics: CRISPR"発明者"ダウドナ氏が設立
CRISPR Therapeutics: 時価総額は3社の中で最大の19.6億ドル

先日、「中国でゲノム編集が施された双子の赤ちゃんが誕生した」という報道が大きな波紋を呼びました。

ガ・ケンケイ教授(中国・南方科技大学)の発表が事実であれば、「意図的な手が加えられたヒト」を初めて生み出したということになります。


2018年12月05日 07:00

3Dプリンター出力サービスのパイオニア!医療分野拡大で急成長を遂げる「JMC」

3Dプリンター出力サービスのパイオニア!医療分野拡大で急成長を遂げる「JMC」
プロボクサーから父の経営するJMCを「ものづくり企業」に育て上げる。2018年は9か月時点ですでに約200億円の売上
国内最大規模となる16台の3Dプリンターを保有。鋳造事業の主要顧客は日本電産(売上全体の14%)
CT事業への参入で製造プロセスの「上流」を押さえる。売上の20%以上がCT事業に(3Q18時点)
売上原価率は60%前後で推移。2018上半期のFCFは1.8億円のプラスに転じる
医療関連の免許取得が完了。『HEARTROID』の拡販にも乗り出し、マーケットリーダーとして売上25億円達成へ視界は良好

普段の生活ではまだまだ馴染みの薄い3Dプリンタですが、製造業においては急速な普及が進んでいます。

公式HP

3Dプリンタ業界の中でも注目したいのが、急速な成長を遂げている「JMC」(証券コード: 5704)です。