ライブ配信の売上が4倍に増加!グリーとの提携を発表した「Bilibili」2018年3Q決算
2018年11月25日 06:47

ライブ配信の売上が4倍に増加!グリーとの提携を発表した「Bilibili」2018年3Q決算

中国のエンタメ企業「Bilibili」(ティッカーシンボル: BILI)の2018年3Q決算が発表されました。

2018年3Q決算リリース

彼らは「中国版ニコニコ動画」とも呼ばれる動画配信サービスを提供しており、近年ではゲーム事業が成長を牽引してきました。

四半期の売上は10.8億元(+48%)、営業損失2.6億元(前四半期の2.4倍に拡大)

今四半期の売上は10.8億元(175億円)と右肩上がり、反対に営業損失は2.6億元(42億円)まで拡大しています。

対前年の売上成長率は50%近い水準をキープしており、引き続き猛烈な成長を続けています。


ライブストリーミング収益は1.7億元(+292%)、売上構成比が15%に上昇

これまでBilibiliの躍進を支えてきたのはゲーム事業でした。

2016年9月に提供を開始した『Fate/Grand Order』(TYPE-MOON社)等が爆発的にヒットし、売上が急増。

しかし、今四半期の売上は7.4億元(120億円)と前四半期から減収してしまっています。


それでもBilibiliが高い成長率を維持できているのは"本業"ともいえる「ライブ配信」が急速に伸びているためです。

ライブ配信の売上成長スピードがグイグイと加速しており、今四半期は292%に達しています。

ライブ配信と広告収益の売上構成比が再び上昇しており、少しずつゲーム依存からの脱却を進めていることがわかります。


課金ユーザー数は350万人(+216%)、ユーザー維持率は80%前後

Bilibiliの成長を支えるユーザー数はどれほどいるのでしょうか。

月間アクティブユーザー数(MAU)は右肩上がりに増加し、9,270万人まで拡大しています。

さらに驚異的なのは課金ユーザーの獲得ペースです。

2018年1月にライブ配信サービスのプレミア会員プランを開始したことで、有料会員数が急増。

今四半期末の課金ユーザー数は350万人で、3か月ごとに50万人のペースで増加しています。

MAUにユーザー課金率は3.8%に上昇しました。

ゲーム収益及びライブ配信収益に対する課金ユーザーあたりの顧客単価(ARPPU)は870元(1.4万円)で、1か月あたりに換算すると約4,600円ほど。

ユーザーの母数拡大がBilibiliの成長ドライバーとなっていることがわかります。


彼らはユーザー獲得のためにコンテンツ投資を強化しており、中でもプロクリエイター制作動画(PUGV = professional user generated videos)に注力しています。

Bilibili

動画視聴の89%をプロクリエイターによって制作された「PUGV」が占めており、「ハイクオリティなコンテンツを配信し続ける」ことが成長の鍵を握っています。

クリエイター数は前年から130%増の57.4万人に拡大。

それに伴ってコンテンツ数も171.6万本まで増加し、結果としてクリエイターをフォローしている高ロイヤリティなファンの数が大幅にベースアップしました。

ユーザーの1日あたり平均利用時間(ゲームを除く)は前四半期の75分から3か月で10分伸びて85分になったとのこと。

12か月間のユーザー維持率(リテンションレート)は80%で推移しており、コンテンツ強化の効果が表れているといえます。


コンテンツ関連コストが上昇傾向。現在の時価総額は38億ドル

Bilibiliのコスト構造は2年前と比較して大幅に改善しています。

売上原価率は82.0%、販管費率は42.1%まで低下しました。

直近のトレンドを詳しく追いかけてみましょう。

クリエイターへの報酬支払などを含むレベニューシェアが41.0%と上昇傾向にあります。

また、コンテンツ費用も2ポイントほど上昇しました。

2016年3Qおよび4Qに一般管理費が増加しているのは、ゲーム事業の売上急増によって役員報酬が拡大したためです。

2018年以降に販促費率が上昇傾向にあり、現在は18.3%となっています。


バランスシートもチェックしていきます。

総資産76.4億元(1,244億円)に対して現金同等物が28.7億元(467億円)、投資有価証券が16.2億元(264億円)と約60%を占めています。

資産の調達原資を見てみると、株主資本が50.5億元(822億円)で最も大きくなっています。


株価の推移を見てみましょう。

8月以降に株価が少しずつ上昇しており、現在の時価総額は37.9億ドルです。

キャッシュ44.9億元(6.5億ドル)を考慮した企業価値(EV)は31.4億ドル。

9か月間の累計売上高29.7億元から年間額を39.6億元(5.7億ドル)と仮定した場合5.5倍という評価を受けている計算となります。


テンセントからの追加出資やグリーとの提携を発表

コンテンツ強化に注力するBilibiliは、株主であるテンセントとの提携をさらに強化することを発表しました。

約3.2億ドルの追加出資を受け、テンセントの持株比率は12%に。

今後はアニメコンテンツに対して共同で投資していく計画で、「Gen Z」(1990年〜2009年生まれ)ユーザーのさらなる獲得を目指します。


そして、10月末には「グリー」とのパートナーシップ契約締結も発表しています。

グリー プレスリリース

Bilibiliはコンテンツ開発力を有するグリーと合弁で「bGゲームス」を設立し、ゲーム開発・運営を強化していきます。

また、グリーが新たな事業の柱として積極投資している「VTuber」事業でも協業し、お互いのプラットフォームを活用してコンテンツ配信を行なう予定。

特定のヒット作依存から脱却を図っている両社の提携がどのように発展していくのか、今後の動向も引き続きチェックしていきたいと思います。


この記事に関するキーワード
中国・アジア Bilibili Inc.
2018年04月21日 11:52

「所沢プロジェクト」に399億円を投資!ドワンゴとの統合によって誕生した「カドカワ」の歴史と近況

カドカワの歴史:文庫創刊から映画事業に展開
ドワンゴの歴史:着メロ事業から『ニコ動』で大成長
現在の事業構成
財政状態
参考URL

今回は、角川グループ(KADOKAWA)とドワンゴの統合によって誕生した「カドカワ」についてまとめたいと思います。


角川グループは、1945年に国文学研究者だった角川源義が興した出版社が起源。戦後日本の再出発とともに創業した出版社です。

2018年08月30日 12:00

プレミア会員スタートで課金ユーザーが3倍に!ライブ配信の成長が再加速した中国版ニコ動「Bilibili」

モバイルゲーム事業の躍進がBilibiliの成長ドライバーに
Bilibili全体の有料課金ユーザー数は300万人
レベニューシェアの比率が上昇
財政状態

中国版ニコニコ動画とも呼ばれるエンタメ企業「Bilibili」の2018年2Q決算をまとめたいと思います。

2018年2Q決算説明資料

2018年10月29日 20:00

VTuberのプラットフォームになれるか?自社ゲーム強化で収益安定化も目指す「グリー」2019年6月期1Q決算

ネイティブアプリへ注力もコイン消費は不安定
暮らしメディア『LIMIA』がメディア事業の復調をけん引
共同開発ゲームの増加で業務委託費が膨らむ
VTuber視聴サービス『REALITY』は2週間でユーザー10万人以上
VTuberクリエイターは半年で4,000人増加

ゲーム・エンタメ事業などを展開する「グリー」(証券コード: 3632)の2019年6月期1Q決算が発表されました。

2019年6月期1Q決算説明資料

2018年11月18日 20:00

WeChat Payのオフライン決済額が前年の3倍に!「テンセント」2018年3Q決算

WeChat Payのオフライン決済額が前年の3倍に!「テンセント」2018年3Q決算
四半期売上は806億元(+23.6%)、営業利益279億元(営業利益率: 34.6%)
WeChat Payのオフライン決済額が前年の3倍に増加し、売上の25%が「その他」収益に
各セグメントの成長が鈍化する中、ソーシャル広告収益が60%増収と加速
WeChatのMAUは10.8億人(前年比+10.5%)
ゲーム課金収益の減少により、売上原価率が56%に上昇

中国のインターネット業界を牽引する「テンセント」の2018年3Q決算が発表されました。

2018年3Q決算説明資料

2018年11月22日 12:00

世界シェアわずか1%未満!日本はなぜ『eスポーツ後進国』になってしまったのか?

世界シェアわずか1%未満!日本はなぜ『eスポーツ後進国』になってしまったのか?
eスポーツの世界市場規模701億円に対して、日本は5億円未満
韓国・ドイツでは2000年ごろからPCゲームのeスポーツが”興行”として注目されるも、家庭用ゲーム優勢の日本では流行らず
日本でのeスポーツ大会の賞金は海外と比べて少なく、高額な賞金を出すためには3つの法律をクリアする必要がある

今年の2月に日本eスポーツ連合(JeSU:Japan esports Union)が発足され、eスポーツは国内でも少しずつ盛り上がりを見せてきています。

『ストリートファイター』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』など海外の大会で使われているIPはあるものの、一方で日本は『eスポーツ後進国』とも呼ばれています

なぜ日本はeスポーツ後進国になってしまったのでしょうか?