リノベ物件プラットフォーム「cowcamo」を手がけるツクルバが新規上場

リノベ物件プラットフォーム「cowcamo」を手がけるツクルバが新規上場

2019年06月30日 20:00

今日の決算分析は、先日新たに上場が承認された「ツクルバ」です。

まずはツクルバがどんな会社なのか、企業としてのバックグラウンドを確認してみましょう。

2019年から売上が急拡大

ツクルバの創業者は、村上浩輝氏と中村真広氏。

村上氏はCEO、中村氏はCCOという肩書きながら、お二人とも代表取締役を務めています。ダブル代表体制ですね。

ともに2009年4月に不動産デベロッパー「コスモスイニシア」に同期入社。

2009年より村上氏はネクスト(現:LIFULL)、中村氏はデザイン制作会社「ア・プリオリ」に勤めたのち、2011年にツクルバを共同創業しています。

従業員は164名規模で、リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」事業やシェアードワークプレイス事業などを展開。

2018年7月期までの売上は5億3,101万円。同年には4億8,681万円の経常赤字となっています。

積極投資の結果、今期は3Q時点で売上10億8,583万円と急成長。

今回のエントリでは、新たに上場が承認されたツクルバの「cowcamo(カウカモ)」とはどんな事業なのか?を中心に、整理してみたいと思います。

成長を牽引する「cowcamo」事業

まず明らかにしたいのは、2019年に入ってからの売上拡大が何によるものか?という点です。

有価証券報告書のデータをみると、リノベ住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」事業が急成長していることが分かります。

2018年7月期までは「通期」で3.8億円だったのが、直近の3Qは「四半期」で3.2億円。単純計算で、売上は3倍以上に拡大していることになります。

ツクルバの事業成長を牽引する「cowcamo」とはどういった事業なのでしょうか?

サービスのトップページを見ると、物件のエリアや条件から検索することができ、その下には実際の物件が掲載されています。

物件ページにアクセスしてみると、その物件の魅力を伝える紹介記事のような形になっています。

物件を購入した場合のローンの目安額も掲載。周辺の魅力も含めて、画像をふんだんに使って丁寧に説明されています。

cowcamoのサービスは「スペックだけでは語りつくせない住まいをひとつずつ取材して、”物語”を集めた中古住宅特化の流通プラットフォーム」と説明されています。

まさに、物件にまつわる「ストーリー」を前面に押し出しているのが一番の特徴です。

さらに、SNSやモバイルアプリによるマーケティングにも注力しており、cowcamoは会員数9万人を超える住宅購入サービスとなっています。

空間プロデュース力に強み

cowcamoのリノベ物件を用意するにあたって、根本的な強みとなっているのが「空間プロデュース能力」です。

もともと、ツクルバの創業事業はコワーキングスペース「co-ba shibuya」の運営でした。

クリエイターのためのシェアオフィスがあったらいいのに」という着想からスタートしたco-ba shibuyaでは、空間の大部分をDIYで仕上げて完成。

起業家やクリエイター、スタートアップが集まる場として現在も運営を続けています。

翌年には「空間デザイン・ プロデュース事業(現:シェアードワークプレイス事業)」もスタートしました。

現在は「co-ba」もこの中に含まれるほか、おもにベンチャー企業を対象としたオフィス設計や、スタートアップのためのオフィスサービス「HEYSHA」を展開。

現在は、受託型のオフィス設計事業は縮小しながら、ストック型で収益が積み上がる直営のコワーキングスペース新設に経営リソースを振り分けているとのこと。


再びcowcamoの話に戻りますが、このように「空間プロデュース」を創業事業としてきたツクルバだからこそ、cowcamoは「プラットフォームでありながら、物件を丁寧に作り込む」という展開が可能になっています。

住まいを探している人に対して「暮らしの妄想」から取り掛かり、不動産の購入、仕立て直し、次の住まい手への売却まで、「中古物件のライフサイクル」を一貫してサポートするのがcowcamo事業の本質となっています。

創業者二人が株式6割以上を保有

ツクルバの事業内容と、その強みについて把握できたところで、最後に同社の財務状況についても確認しておきましょう。

まずはコストの内訳です。

販管費の多くは「人件費」と「広告宣伝費」。

フルタイムの従業員は117名おり、平均年収は460万円ほど。だいたい売上の半分強を人件費にあてる構造となっています。

売上原価率は今期、32%まで拡大していますが、その多くはcowcamo事業などにおける物件取得費と、シェアードワークプレイス事業における設計人件費とのこと。

バランスシートについてもグラフにしてみます。

総資産は9億円近くあり、そのうち3.9億円が現金として手元にあります。

有形固定資産は8,105万円ほど。cowcamo事業で仕入れた販売不動産が売却されたことで、販売用不動産は前期末から減少して5,614万円に。

バランスシート全体のうち8億円以上が「払込資本」、すなわち株式の発行によって投資家から集めたお金です。累積損失は3.7億円ほど。

借入金は合わせて3.5億円ほどで、不動産物件を直接扱う会社としては、物件の保有額が少なく、借入金も少ないのが特徴と言えます。

今期のキャッシュフロー計算書はまだ出ていませんが、新たな資金調達を行なっていないのに現金が増えていることを見ると、キャッシュフローは現時点ではプラスになってそう。

そもそもcowcamoは、自社では物件を保有しない「仲介手数料」や、売主向けの物件企画支援による「企画料」が収益源。

「売り主」と「買い手」の双方でネットワークを拡大していけば、それに応じて利益は積み上がっていく形になるはずです。

最後に、株主の状況について確認しておきましょう。

共同代表の村上氏と中村氏は、資産管理会社と合わせてそれぞれ30%強を保有しており、二人で過半数を今も保持しています。

外部株主で最大なのは、顧客企業でもある「アカツキ」と、ベンチャーキャピタルの「イーストベンチャーズ」。

その他には、個人のエンジェル投資家が名を連ねています。

上場時発行済株式総数は933万1,700株、想定発行価格は2,050円とのこと。仮にこの条件のまま株式上場すると、時価総額は191億円ということになります。

シェア/お気に入り
資料をダウンロード