【改訂版】世界一わかりやすい?決算書の読み方

【改訂版】世界一わかりやすい?決算書の読み方

2019年01月21日 12:00

今回は改めて「決算書の読み方」について語ります。

以前書いたものと言いたいことは同じですが、画像中心に整理し直しました。

企業活動は「資金調達」「投資」「営業」の三つで構成

まず押さえたいのは、そもそも企業活動がどのように行われるかという点です。ざっくり三つの活動から構成されています。

一つ目は、事業に必要な資金を調達する「①資金調達活動」。

二つ目は、調達した資本を設備投資などにあてる「②投資活動」。

そして三つ目が、日々のオペレーションを回して実際に利益を稼ぎ出す「③営業活動」です。

例えば「高菜おにぎり屋チェーン」で起業するなら、一般に銀行などから資金を借りてくる必要があります(①調達)。

次に、調達した資金から調理器具など店舗に必要な設備・備品を購入・賃貸し、お店を開くための準備をします(②投資)。

そして実際におにぎり屋さんを開き、高菜おにぎりを作って売る(③営業活動)という流れです。

決算書は三つの活動をそれぞれ含んでいる

重要なのは、三つのステップが決算書(財務三表)の一部分に対応していること。

財政状態を報告する「バランスシート(貸借対照表)」には、どのように資本を調達したか(①資金調達活動)が書かれています。

また、調達した資本を何に投資しているか(現金のままor設備や材料などに変えられている)という「②投資活動」についても読み取ることができます。

損益を報告する「損益計算書」にはもちろん「③営業活動」の成果が書かれています。

そしてキャッシュフロー計算書には調達、投資、営業それぞれ三つの活動による現金の流れを読み取ることができます。

バランスシートでは、資本の調達源泉と現在の状態(何に投資したか)がわかる

それでは、より具体的な内容について確認していきましょう。まずはバランスシート(貸借対照表)について。


前述した通り、バランスシートには「その企業がどうやって資金を調達してきたか」が現れます。

そもそも、企業が資金を調達するための主な方法は3種類あります。

一つ目は、銀行や信用金庫などからの「借入」です。要するに借金。

二つ目は、株式会社として発行した株式を購入してもらう「払込資本」。バランスシート上では「資本金」「資本剰余金」と書かれます。

また三つ目として、その会社が稼いだ利益を再投資するというのも立派な資金調達の方法です。

決算書には「利益剰余金」と書かれますが、一般に「内部留保」と言われることもあります。


資本の調達源泉が表されるのはバランスシートの右側(負債と純資産)で、その構成を図式化すると次のスライドのようになります。

ミクシィ、メルカリ、ソフトバンクグループ三社の例をあげていますが、会社によって資本の調達源は大きく違うことが分かります。

ミクシィは資本の大部分を「利益剰余金」によっていますし、ベンチャーとして投資家から資金を集めてきたメルカリは「払込資本」がかなりの部分を占めています。

また、ソフトバンクグループは「有利子負債(借金)」が18兆円と非常に大きな金額です。

このように「お金をどうやって調達してきたか」というのは、会社の経営姿勢が現れる大きなポイントの一つです。


一方でバランスシートの左側(資産の部)には、「調達した資本をどのような状態においているか」が表されます。

次のスライドではミクシィ、Apple、マクドナルドの3社を例に挙げています。

ミクシィが資本の大部分を現預金のまま寝かせているのに対し、Appleは23兆円もの金額を有価証券に投資しています。

そして、「隠れた不動産王」とも言われるマクドナルド社は2.5兆円もの金額を有形固定資産(土地や建物)に投じています。

このように、バランスシートの右と左を見ることで、「どのように資本を調達し、どんなものに投資してきたのか」が大体わかるようになっています。

ソフトバンクグループのバランスシートを見ると、調達した18兆円もの有利子負債は「無形資産」「投資資産」に変わっています。

無形資産は、そのほとんどが企業買収によって獲得されたものであり、やはり「企業投資」にあてられていると言えます。


損益計算書では期間内における売上と費用を集計し、両者を引き算して利益を計算

続いて、損益計算書です。

バランスシートは特定時点における財政状態を報告するのに対し、損益計算書には「期間」があるのがポイントです。

例えば、バランスシートでは2019年3月31日「時点」での財政状態を報告するのに対し、損益計算書では2018年4月1日から2019年3月31日までにおける営業活動を集計します。

営業活動の成果は基本的に「売上」「費用」の二つで報告され、両者を差し引いたものが「利益(=稼ぎ)」ということになります。

当たり前と思われるかもしれませんが、「売上高」は「単価」と「数量」の掛け算で表すことができます。

これは世の中のほぼ全ての事業に当てはまり、ジェット機メーカーだろうがサービス業だろうが、売れたものの単価と売れた数の掛け算、そしてその合計で計算されます。

ほとんどの事業では、売上を上げるために「最低限必要なコスト」が存在します。

スライドの例で言えば、おにぎりを売るためにはコメを買わなくてはなりません。材料代ですね。

おにぎりを作ってくれるアルバイトの方の人件費や、水道光熱費なども「売上原価」の中に計上されるケースが多くあります。

売上原価以外の費用のうち、事業にダイレクトに関係するものは「販管費」として計上されます。

たとえば正社員の人件費だったり、広告宣伝費、店舗の賃貸費用などは事業運営上必要ですから、販管費の中に含まれることになります。

そして、これらの費用を売上高から差し引くことで「営業利益」が計算できます。

売上高から売上原価を引いた利益は「売上総利益(粗利益)」と呼ばれ、そこから販管費を引くと「営業利益」。

要するに「その期間の営業活動でいくら稼いだか」を計算するのが「営業利益」という指標です。

会社の費用には、事業に直接関係しないものもあります。

銀行への支払利息などは事業には関係しないものの、毎年コンスタントに発生(経常的)します。

こうした費用は「営業外費用」と呼ばれ、営業利益からこれを差し引いたのが「経常利益」です。

一方、例えば保有している株式を売却したら損失になってしまったとか、買収した企業が思ったほど良くなくて「減損処理」を行う場合には一時損失を計上します。

これらの費用は繰り返し発生するわけではないので、「特別損失(利益)」と呼ばれます。

経常利益から特別損益と法人税を足し引きすると、最終的な利益である純利益となります。

一般に、純利益から株主に配当金が出され、残った利益が「利益剰余金」として再投資されます。

売上と費用は、実際の現金の流れとは異なる

損益計算書は企業の営業活動について報告する重要な書類ですが、大きな欠点もあります。

損益計算書上に出てくる「売上」「費用」「利益」という値は、どれもバーチャル(仮想的)なものに過ぎません。(お金自体がバーチャル、とかいう話はここではやめておきましょう)

とある顧客が「高菜おにぎり100個を購入する」という注文を2019年3月25日に行ったとしたら、売上は当然3月25日付で計上されます。

ところが実際に代金が入ってくるのは4月以降、といったことは事業活動では常に発生します。

それでもこの売上は3月25日に計上されているため、損益計算書的には「2018年度(2018/4/1〜2019/3/31)の売上」になります。


このように、計上されている売上や費用と実際のキャッシュフローには常に何らか乖離があるのが普通です。

そのため、損益上は黒字なのに現金が足りなくなって倒産したり、実態のない売上を計上してしまって粉飾決算が露呈するということが起こるわけです。


キャッシュフロー計算書では、三つの活動それぞれに対応する現金の流れがわかる

このような損益計算書の難点を補うのが「キャッシュフロー計算書」です。

日本の上場企業では2000年3月期からキャッシュフロー計算書の作成が義務付られました。

キャッシュフロー計算書は、その名の通り現金(キャッシュ)の流れを報告し、冒頭で述べた「企業活動の3ステップ」に1対1で対応しています。

財務キャッシュフローは「①資金調達活動」、投資キャッシュフローは「②投資活動」、営業活動は「③営業活動」それぞれにおける現金の流れを報告します。

ZOZOのような優良企業では「営業CFがプラス、残り二つがマイナス」という形になります。

事業で稼いだキャッシュを元手に、設備投資や株主還元(配当金や自社株買い)にお金を使うということですね。

投資家にリターンを返しながら、次なる成長のための資金も自分で賄えている状態。

一方、RIZAPグループは売上と営業利益が大きく拡大しましたが、営業キャッシュフローはほとんど増えていません。

代わりに財務キャッシュフローが大きく拡大しています。

これはつまり、事業でキャッシュを稼ぐことがないまま投資家や銀行からの資金調達に頼って拡大し続けているということ。

成長途中のベンチャーは多くがこうした状態なので、こういうキャッシュフローだから100%悪いとは言えませんが、「いつごろ営業CFがプラスになる計画なのか」は冷静に考える必要があります。

営業CFがプラスにならないなら、投資家などから永遠に金を巻き上げ続ける必要がありますが、いずれ破綻することでしょう。

企業活動の「三つの流れ」を軸に決算書の読み方について見てきましたが、やはり実際の決算書を読んでみないと分からないことも多いと思います。

今後、Stockclipでも初心者の方向けのコンテンツをいくつか作っていきたいと思うので、Twitterなどで感想をお寄せいただけると嬉しいです。