営業利益の82%が版権事業!ドラゴンボールアプリで増収増益の「東映アニメーション」

営業利益の82%が版権事業!ドラゴンボールアプリで増収増益の「東映アニメーション」

今回は、日本のアニメ製作の雄「東映アニメーション」(証券コード:4816)について見ていきます。

(東映アニメーション 公式HP)

東映アニメーションは第二次世界大戦後間もなくの1948年に新宿で設立された企業。設立後、すぐにアニメ制作をスタートさせており、アニメ制作を始めて今年で71年目を迎えています。1986年に放映を開始したテレビアニメ「ドラゴンボール」は大ヒット。以降、10年間に渡って放映される長寿番組となりました。他にもセーラームーンやワンピースなど人気作品のアニメ化を手がけ、現在では日本アニメを語る上で欠かせない企業となっています。

業績は2015年3月期以降、増収増益を続けています。直近の通期売上は460億円。営業利益率は24.5%となっています。

70年以上の歴史を持つ老舗アニメ企業が近年、増収増益を重ねられているのはなぜなんでしょうか?

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・東映アニメーションが生み出してきた名作映画のカオスマップ
・版権事業の売上が4年で〇〇倍に増加
・海外版権の売上が4年で〇〇倍に増加
・バンナムへの売上依存度が〇〇%
・売上の42.4%を〇〇が占める
・アニメ市場は国内外合わせて〇〇兆円

いち早くサブスクリプション型の動画配信をスタート

ここからは東映アニメーションの事業内容について見ていきます。まずは数多くの名作アニメを世に送り出してきた映像製作・販売事業から。(作品を年代別にまとめたので、ぜひ自分の好きな作品がないか探してみてください!)

ゲゲゲの鬼太郎北斗の拳といった超名作からドラゴンボールワンピースといった現在の超人気作品まで幅広く扱っています。これらのうちひとつも見ることなく、子供時代を過ごした人はほとんどいないのではないでしょうか。

映像製作・販売事業ではこういった有名作品のアニメ化・映画を手がけています。また、過去の作品についてはブルーレイ・DVD化を行い、販売しています。

近年、サブスクリプション型へと移行する動画業界。実は、東映は一足早い2002年から定額配信制の動画サイト「東映アニメBB」スタートさせています。現在は名前を変え、「東映アニメオンデマンド」として過去作品を配信。月々1,026円でドラゴンボールやワンピースなど人気作品を含め、毎月5〜6作品が見放題となっています。

版権事業では玩具・ゲームメーカーに人気キャラクターのライセンシーを与え、キャラクター商品を展開。商品の売上の一部を版権収入として得ています。

自社での商品販売も行っています。都市部でワンピースやプリキュアなどのキャラクターショップを展開。オンラインショップも展開しており、幅広いチャネルを介して、商品販売を行っています。

営業利益の82%が版権事業によるもの

事業内容について確認したところで、今回のエントリの本題である東映アニメが増収増益を続けている要因に話を戻します。まずはセグメント別売上から増収要因をさぐっていきます。

2015年以降、版権事業の売上が急増。2017年にはそれまで最も大きい売上を誇っていた映像製作・販売事業を抜いて、版権事業の売上が最も大きくなっています。

セグメント別に営業利益の推移を見ると、版権事業が114億円。営業利益全体の82%を版権事業が占めています。版権事業の営業利益率は47.8%で他事業を大きく上回っています。(映像製作・販売は15.0%、商品販売は2.6%)

ドラゴンボールの版権売上だけで年間52億円

東映アニメーションが増収増益を続けている要因は利益率の高い版権事業が急成長しているためのようです。ではなぜ版権事業が伸びているのでしょうか?

地域別に版権事業の売上を見ると、海外での版権売上が急増。4年で7倍近くまで増加しています。近年の海外でのアニメブームが追い風となって、版権売上が伸びているようです。

作品別に海外版権の売上を見ると、ドラゴンボールが最も大きく年間52億円。2015年の4億円から3年で13倍にまで増えています。ドラゴンボールに次いで大きいのがワンピースで、年間28億円となっています。

ドラゴンボールの海外での版権売上が急増している背景にあるのが、2015年1月末にバンナムがリリースしたドラゴンボールの携帯アプリ。2015年7月に英語版での配信が開始されると、以降、全世界で大ヒット。このヒットにより東映アニメーションはバンナムから莫大な版権収入を得ました。

アプリヒットによる版権売上の増加で好調な東映アニメーションですが、やや気がかりな点もあります。

バンナムが手がけるドラゴンボールアニメが大ヒットしたことで、バンナムへの売上依存度は急増。15/3期には全体売上の22%であったバンナムへの売上が、18/3期には40%にまで上昇しています。売上依存度の高いバンナムの業績次第では、増収増益の流れにストップがかかる可能性があると言えます。

売上原価率が4年で10.0pt減少

コスト構造について見ると、売上原価率がここ4年で10pt近く減少。一方、原価の内訳を見ると、版権事業の増収により版権料等の比率が上昇しています。

調達資本を見ると、利益剰余金が501億円まで積み上がっています。自己資本比率は76.3%。有利子負債もなく、財政状態は健全であると言えます。

調達資金の使い道を見ると、現預金が285億円、投資有価証券が120億円あります。18/3期に大泉新スタジオを建設したことで、有形固定資産が13億円ほど増加しています。

営業CFは右肩上がりに上昇。今期は101億円の営業CFを稼ぎ出しています。一方、有形固定資産の取得や定期預金の預入を行ったことで、今期の投資CFは66億円のマイナスになっています。

株価は2017年半ばから急激に上昇。2年近くで2倍以上に上昇しています。現在の時価総額は2,318億円。純キャッシュを考慮した企業価値(EV)は1,913億円となっています。2018年のFCF142億円に対し、企業価値(EV)は13倍の評価を受けています。

海外のアニメ市場の規模が1兆円を突破

東映アニメーションを取り巻くマクロ環境についても見ておきます。

(一般法人 日本動画協会)

国内のアニメ市場はここ数年横ばい。その一方で、海外のアニメ市場は2014年以降伸び続けており、2017年には1兆円を突破しています。海外でのアニメ人気はよく耳にしますが、こうしてデータで見ると、とてつもない人気であることが分かります。

最後に東映アニメーションの19/3期の業績予想と3Q19までの進捗率について確認シておきます。 

2019年の売上予想は535億円。3Q19までに既に418億円を売り上げていおり、進捗率は78.1%となっています。一方、営業利益は150億円の予想で、進捗率は84.4%となっています。

まとめ

・版権事業の売上が4年で2.4倍に増加
・海外版権の売上が4年で7倍に増加
・バンナムへの売上依存度が40%
・売上の42.4%を版権料等が占める
・アニメ市場は国内外合わせて2.2兆円