縮小気味だった「味噌業界」に転機!海外輸出量は30年で○倍に?

縮小気味だった「味噌業界」に転機!海外輸出量は30年で○倍に?

2019年05月15日 20:00

日本の味とも言える「味噌」はこれまで、生産量の減少が続いていました。

2000年代に国内生産は50万トンを割り込み、2013年には42.6万トンまで減ってしまいました。ピークだった1973年の59万トンから40年間で3割近く市場が縮小したことになります。

しかし、味噌業界にも明るいニュースが飛び込んできました。

2013年12月、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録が決定。様々な和食に用いられる味噌にとって追い風となる出来事でした。

直近10年間の推移を切り取ってみると、2013年以降の生産量は増加トレンドとなっています。


さらに味噌業界の復調は、国内生産以外の数字にも表れていることが分かりました。

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・味噌の海外輸出は○倍に増加
・海外にある日本食レストランの数は〇店舗
・〇市場の拡大もブームを盛り上げる一因に
・味噌業界トップの〇は市場シェア〇%

味噌の輸出量は30年で7.8倍増加

和食ブームを受けて味噌業界が恩恵を受けたのは日本国内だけではありません。

財務省貿易統計のデータによると、味噌の輸出量は2018年に1.7万トンを超え、30年で7.8倍、10年前と比べても67%も増加しています。金額ベースでは35億円という規模感です。

直近10年間の国別輸出額シェアを見てみると、最も多いアメリカが24.3%まで低下。2位韓国、3位台湾の比率も低下傾向にあります。4位・中国、5位・オランダに加えて「その他」地域への輸出が増加しており、世界中からニーズが高まっている状況だといえます。

海外にある日本食レストランの数は2017年に11.8万店舗まで増加し、味噌の輸出拡大に大きく貢献しています。

和食&味噌ブームと合わせてチェックしたい「オーガニック市場」の拡大

オランダや「その他」地域、特にヨーロッパへの輸出が増加している背景には「オーガニック食品」市場の拡大があります。

健康志向の高まりを背景に、世界のオーガニック市場は現在970億ドルを誇ります。今後も市場の拡大は止まらず、2024年には3倍以上の3,231億ドルに達するのではないかとも言われています。

定義があいまいな印象もあるオーガニック食品ですが、「本場」ともいえるヨーロッパには数多くの認証機関が存在します。厳しい基準を設けてお墨付きを与え、オーガニック食品への信頼を保証したことがヨーロッパにおけるオーガニック市場拡大の一因にもなっています。

農林水産省は2009年に「フランスへの味噌輸出実行マニュアル」を発行し、市場開拓への取り組みを続けています。

味噌業界の現状:トップシェア「マルコメ」が市場の25%以上を握る

ブーム到来ともいえる味噌業界には一体どのようなプレイヤーがいるのでしょうか。

ここ数年で市場シェア上位5社に変化はなく、トップの「マルコメ」が25%以上を握っています。2位「ハナマルキ」が12%、3位「ひかり味噌」が9%前後を守る一方、4位「マルサンアイ」と5位「神州一味噌」(サッポロホールディングスが2017年に買収)のシェアが低下して寡占化が進んでいるようです。

トップ3社はいずれも長い歴史を誇り、マルコメの発祥はなんと1854年 (安政元年)までさかのぼります。ハナマルキは大正7年、ひかり味噌は1927年(昭和2年)の創業で、伝統の味を守り続けてきた企業が味噌業界を支える構図となっています。

なお、「全国味噌工業協同組合連合会」に加盟しているのは現在887企業で、そのほとんどは未上場企業です。上位5社の中ではマルサンアイのみが名古屋証券取引所に上場しています。

トップ3社の海外展開:3番手「ひかり味噌」は業界初のハラル認証を取得

歴史あるトップ3社は海外需要の高まりに対してどのような取り組みを行なっているのでしょうか。

海外事業に最も積極的な姿勢を見せているのが業界3番手のひかり味噌です。

ひかり味噌は1993年からアメリカで有機大豆の契約栽培を開始。2003年にロサンゼルス営業所を設立し、2008年にはヨーロッパの有機認証機関ECOCERTによる有機認証を取得しました。そして、2012年に業界初の「ハラル認証」を取得し、ローカライズ商品を開発して世界60カ国以上に輸出しています。

2位ハナマルキは2015年にタイで子会社を設立しました。ハナマルキの主力製品には塩こうじがあり、相性の良い鶏肉はタイが世界有数の生産拠点となっていることから進出を決めました。2019年1月には「液体塩こうじ」の新工場建設に着工しています。

マルコメはアメリカ、タイに拠点を置き、世界48カ国以上に商品を輸出しています。2019年2月にタイ・バンコクで初の海外常設アンテナショップ「発酵らぼ」をオープンし、「マルコメの"味噌"を世界の"MISO"へ」を合言葉に海外事業を強化しています。

東京オリンピックを控えて今後も日本食ブームは続く見込み。古くから日本の味を支えてきた味噌業界のグローバル化に期待が高まります。

まとめ

・味噌の国内生産量は減少トレンドが底を打った
・輸出量は30年で7.8倍に増加
・海外にある日本食レストランの数は11.8万店舗
・1兆円規模のオーガニック市場拡大もブームを盛り上げる一因に
・業界トップのマルコメが市場シェア25%に上昇
・味噌業界はトップ3社の寡占化が進む
・海外事業に最も積極的なのは業界3位・ひかり味噌

参考

全国味噌工業協同組合連合会「みその統計」

農林水産省「『和食』のユネスコ無形文化遺産登録5周年!」

財務省貿易統計(HSコード:2013.90-100)

農林水産省「農林水産物・食品の輸出実績 (品目別)」

Organic-World.net「The World of Organic Agriculture 2019」

「Global Organic Food and Beverages Market Will Nearly Triple by 2024, According to New Report」

ジェトロ「欧州における有機食品規制調査」

ブランド総合研究所「拡大するハラル市場と現状」

ひかり味噌「日本食の海外市場開拓に関する一考察」