【保存版】楽天による買収の歴史

今日は、楽天が過去に買収してきた企業についてまとめてみたいと思います。

楽天は1997年5月に『楽天市場』のサービスを公開しました。最初は従業員6名、13店舗からのスタートだったそうです。

会社ホームページより)

その後、2000年4月には早くも株式を公開(日本証券業協会へ株式を店頭登録)し、同年から怒涛のM&Aによる事業拡大を展開してゆきます。

かなりの長文になってしまったので、まずは全体を表にしておきます。以下に含まれていない買収案件もかなり多くあったみたいなのですが、今回は公式ホームページ(楽天の歴史)に記載されているものにとどめています。

買収年月買収対象買収額
2000年12月Infoseek90億円
2003年9月旅の窓口323億円
2003年11月DLJディレクトSFG証券約300億円
2004年5月みんなの就職活動日記
2004年9月あおぞらカード74億円
2005年6月国内信販株式会社120億円
2005年10月LinkShare Corporation464億円
2007年8月フュージョン・コミュニケーションズ株式会社6.73億円
2008年9月結婚情報サービス『O-net』
2009年2月イーバンク銀行実質200億円
2009年3月有料動画配信サービス『ShowTime』17億円
2010年1月プリペイド型電子マネー『Edy』30億円?
2010年5月リンクシェア・ジャパン
2010年7月米国『Buy.com』2億5000万ドル
フランス『PriceMinister』224億円
2011年6月ブラジル『Ikeda Internet Software』
2011年7月ドイツ『Tradoria』
2012年1月カナダの電子書籍『Kobo』236億円
2012年6月スペイン『Wuaki.tv』
ケンコーコム15億円
2012年10月アイリオ生命保険
2012年11月フランス物流事業者『Alpha Direct Services」
2013年2月アメリカのキュレーション型EC『The Grommet』
2013年6月米国物流会社『Webgistix』
2013年9月米国の動画配信サイト『Viki』200億円
2014年3月通話アプリ『Viber』9億ドル
2014年9月米国購買分析企業『Slice』
2014年10月北米『Ebates』1060億円
2015年4月電子図書館の米国『OverDrive』500億円
2015年7月バーチャル試着サービス「Fits.Me」
2016年9月フリマアプリ『FRIL』数十億円(推定)
2016年10月爽快ドラッグ89億円
2016年11月教育サービス『ReDucate』

こうしてみると、設立から10年も経たずに数百億円規模のM&Aを何件も決めていますね。日本のインターネットベンチャーとしては稀に見る買収巧者と言えます。

以下、各案件の少しだけ詳しい情報です。

2000年12月 『Infoseek』(90億円)

検索機能を備えたポータルサイト『Infoseek』を運営する株式会社インフォシークを買収しました。

インフォシークは1996年にデジタルガレージ社が米国インフォシークと業務提携して創業した企業です。買収額は90億円という金額だったようです。設立してからわずか3年ちょっとの時期にそんな買収を行なっていたのですね。

(参考:成長の軌跡 インフォシーク買収

インフォシークはその後、2003年9月に楽天本体に吸収合併されます。

2003年9月 『旅の窓口』(323億円)

続いて、楽天は旅行サイト『旅の窓口』を運営していたマイトリップ・ネット株式会社を完全子会社化します。

楽天は2000年から「楽天トラベル」を展開し、掲載宿数・予約数ともに順調に伸ばしていたそうですが、当時圧倒的だった『旅窓』にはどうしても追いつけなかったと言います。

(参考:成長の軌跡 楽天トラベル設立

楽天トラベルは楽天スーパーポイントとの連携もあって自分もよく使いますが、当時の買収額323億円というのはかなりの規模だったのではと想像します。

323億の「安い買い物」:楽天、マイトリップ・ネットを買収

マイトリップ・ネットの親会社は日立造船だったのですね。

2003年11月 DLJディレクトSFG証券(300億円)

楽天、DLJ証券を買収

インターネット専門証券業を展開するディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券株式会社を子会社化しています。当時の主要株主はCSFBdirect Asia Holdings(保有比率50%)、三井住友銀行(同21.25%)。現在は楽天証券株式会社となっており、主力事業の一つに成長しました。

2004年5月 『みんなの就職活動日記』

参考:楽天、「みんなの就職」を完全子会社化

口コミ就職サイト『みんなの就職活動日記』を運営するみんなの就職株式会社を完全子会社化しました。「みんなの就職活動日記」は1996年12月から運営されており、2004年3月28日時点で33万5000人の登録者を有していたとのことです。

2009年に楽天株式会社に吸収合併されています。

2004年9月 あおぞらカード(74億円)

参考:楽天、カードローン参入へ あおぞらカード買収

個人向けカードローン会社の株式会社あおぞらカードをあおぞら銀行、オリックス・クレジット、オリックスの3社から74億円で譲受し、完全子会社化。楽天はこれを機に個人向けカードローンに参入しました。

現在は楽天カード株式会社となっており、こちらも主力事業の一つですね。

2005年6月 国内信販(120億円)

参考:楽天、クレジットカード会社の国内信販を買収--社名を「楽天KC」へ

クレジットカード「KCカード」を発行していた国内信販株式会社を子会社化し、クレジットカード決済サービスの『楽天カード』の発行を開始しました。

国内信販は1963年に設立された福岡の会社だったようです。

その後、楽天KC株式会社、KCカード株式会社へと社名を変更していったようです。あおぞらカードから派生したカードローン事業と統合したようです(参考)。

現在は「ワイジェイカード株式会社」としてヤフー(及びソフトバンク)グループのもと事業を行っている様子。

2005年10月 LinkShare Corporation (464億円)

参考:楽天、米リンクシェアを4億2500万ドルで買収--世界進出への第一歩に

アフィリエイトサービスを手がける米国のLinkShare Corporation (現 RAKUTEN MARKETING LLC)を完全子会社化し、米国アフィリエイト市場に参入しました。買収資金は銀行からの借り受けで賄ったとのことです。

日本法人のリンクシェア・ジャパンはLinkShareと三井物産が50%ずつ出資していたが、この時点で資本構成に変更はなかったようです。

上の記事でそれより目についたのは、2004年に中国で航空券予約事業などを行うCtrip.com Internationalに約20%出資していたことです。CtripはNASDAQにも上場し、成長を続けています。

2007年8月 フュージョン・コミュニケーションズ(6.73億円)

参考:楽天がフュージョンを買収,ネットを使わない顧客の獲得にも活用

2007年6月19日に、東京電力傘下の通信事業者で、IP電話事業を運営していたフュージョン・コミュニケーションズを買収することで東京電力と合意しました。フュージョンが持つアセットを活用し、インターネットを利用していない層を取り込んでいくことが狙いだったとのこと。

買収金額については次の記載があります。

> 今回の買収金額について,楽天側は取得金額を非公表としたが,東京電力側は譲渡金額を6億7300万円と公表している。

2008年9月 結婚情報サービス『O-net』

参考:楽天、結婚情報サービス大手オーネットを子会社化

結婚情報サービスを運営する株式会社オーネットを株式取得により完全子会社化しました。当時の会員数は5万1140人、会員同士の成婚者数は年間およそ4000人だったとのことです。

2009年2月 イーバンク銀行(実質200億円)

参考:楽天、イーバンク銀行を連結子会社化

2008年9月に資本・業務提携契約を締結し、優先株式199億8000万円を引き受けていたイーバンク銀行株式会社の優先株式を普通株式に転換し、子会社化しました。イーバンクは当時から300万口座を有していたのですね。

現在は楽天銀行となっています。

2009年3月 有料動画配信『ShowTime』(17億円)

参考:楽天、ショウタイムを17億円で完全子会社化

2001年にUSENとの合弁で立ち上げた動画コンテンツ配信事業を運営する株式会社ショウタイムを株式追加取得により完全子会社化しました。USENの全持分を17億8400万円で買い取ったとのこと。当時のShowTimeのコンテンツ総数は6万タイトル、会員数は110万人だったそうです。

2010年1月 プリペイド型電子マネー『Edy』

参考:楽天が"Edy"を買収する意味

楽天は、2009年11月にプリペイド型電子マネーを運用している「Edy」を運用していたビットワレット株式会社との資本提携を発表していました。その内容は楽天が約30億円でビットワレットの第三者割当増資を引き受け、株式の過半数を取得するというもので、実質的な買収だったと言えます。上の記事はライブドアの社長だった堀江貴文氏の記事で、楽天の戦略をべた褒めしています。

ビットワレットは現在は楽天Edy株式会社となっています。

2010年5月 リンクシェア・ジャパン

参考:リンクシェア・ジャパン株式会社と株式会社トラフィックゲートが合併

リンクシェア・ジャパン株式会社を株式会社トラフィックゲートとの合弁により子会社化。楽天が2005年に本家の米国リンクシェアを買収して以来、楽天グループのトラフィックゲートとの協業・連携の可能性について話してきたとのことです。

2010年7月 米国『Buy.com』(2.5億ドル)

参考:楽天、Buy.comを2億5000万ドルで買収 北米展開の基盤に

アメリカにおいて EC サイト『Buy.com』(現 『Rakuten.com』)を運営する Buy.com, Inc.(現 RAKUTEN COMMERCE LLC)を完全子会社化しました。

2010年7月 フランス『PriceMinister』(224億円)

参考:楽天、仏最大規模のEC企業を買収 半年で4カ国目

フランスにおいてECサイト『PriceMinister』を運営するPRICEMINISTER S.A.(現 PRICEMINISTER S.A.S.)を完全子会社化 しました。取得額は約2億ユーロ。

2000年に設立され、フランスを中心に英国やスペインにおいてEC事業を展開し、同時に旅行価格比較サイトおよび不動産情報サイト等も運営していたようです。

2011年6月 ブラジル『Ikeda Internet Software』

ブラジルにおいてECサービスを提供するIkeda Internet Software LTDA.(現 RAKUTEN BRASIL INTERNET SERVICE LTDA.)を子会社化。詳細はちょっとわかりませんでした。

2011年7月 ドイツ『Tradoria』

参考:楽天、ドイツEC事業大手のTradoriaを買収

ドイツにおいてECサイト『Tradoria』(現 『Rakuten.de』)を運営する Tradoria GmbH(現 Rakuten Deutschland GmbH)の株式80%を取得し、子会社化。

2012年1月 カナダの電子書籍『Kobo』(236億円)

参考:楽天、カナダの電子書籍事業者 Kobo を買収

カナダに拠点を置く世界有数の電子書籍事業者のKobo Inc.(現 Rakuten Kobo Inc.)を完全子会社化し、電子書籍事業に本格参入。買収額は3億1500万ドル(約236億円)。

ここまでくると記憶に新しいですね。

2012年6月 スペイン『Wuaki.tv』

参考:楽天、スペインWuaki.tvを買収

スペインにおいてスマートTV、タブレット、その他デバイス向けのビデオストリーミングサービスを提供するWuaki.TV, S.L.(現 Wuaki.TV, S.L.U.) を完全子会社化。

2012年6月 ケンコーコム(15億円)

参考:楽天、ケンコーコムを買収 健康食品ネット通販

健康関連商品の販売・EC事業を運営するマザーズ上場企業のケンコーコム株式会社を子会社化。15億円を投じてケンコーコム株の40%を取得し、子会社の保有株と合わせて出資比率は51%になったとのこと。

2012年10月 アイリオ生命保険株式会社

参考:アイリオ生命保険株式会社の株式取得 及び子会社化に関するお知らせ

持分法適用関連会社であったアイリオ生命保険株式会社を子会社化。現在は楽天生命保険株式会社となっています。

2012年11月 フランスの物流事業『Alpha Direct Services』

参考:楽天、フランスの物流大手ADSを買収--海外展開を本格化

2002年に設立されたフルフィルメントサービスプロバイダであるフランスの大手物流事業者Alpha Direct Services S.A.Sを完全子会社化。

2013年2月 アメリカのキュレーション型EC『The Grommet』

アメリカのキュレーション型ECサイト『The Grommet』を運営するDaily Grommet Inc.(現 The Grommet Inc.)を子会社化。

詳細がわかりませんでしたが、ちょっと面白そうなのでいつか深掘りしてみたいジャンル。

2013年6月 米国物流会社『Webgistix』

参考:日本の楽天、ロジスティックスのWebgistixを買収―アメリカでAmazon Primeなみのサービス提供へ

米国物流会社のWebgistix Corp.(現 Rakuten Super Logistics, Inc.)を完全子会社化。

記事では、Amazon Primeへの対抗戦略とみられていますね。

2013年9月 米国の動画配信『Viki』(200億円)

参考:「Vikiの買収、アメリカで大騒ぎになってますよ」

世界でビデオストリーミングサービスを展開する米国VIKI, Inc.を完全子会社化。多言語の字幕を配信する独自の仕組みが評価ポイントだったようです。

『Sex and the City』のチャイナバージョンとかあるんですね。

2014年3月 通話アプリ『Viber』(9億ドル)

参考:楽天、通話アプリのバイバー買収 5億ユーザー目指す

2014年2月14日に無料通話・メッセージサービス「Viber」(バイバー)を提供するキプロスのViber Mediaの買収を発表。銀行借り入れにより9億米ドルで100%同社の株式を取得し子会社化したとのこと。この時点では楽天史上最高額っぽいですね。

2014年9月 米国の購買データ分析企業『Slice』

参考:私が楽天による買収を受け入れたワケ

様々なECサイト利用時に届く購買通知メールを解析し、消費履歴を集約するアプリサービス『Slice』を提供する米国Slice Technologies, Inc.を完全子会社化。

Eコマースに関するデータサイエンス企業のようです。

2014年10月 北米『Ebates』(1060億円)

参考:楽天が米国展開に本腰--「Ebates」を1000億円超えで傘下に

北米最大級の会員制オンライン・キャッシュバック・サイト『Ebates』を展開するEbates Inc.を完全子会社化。

Ebatesは1999年に設立され、大手専業ECサイト、ECに注力するリアル小売店、オンライン旅行代理店など、2600以上の企業が出店していました。2013年度の時点で流通総額は22億ドルだったとのこと。

この買収によって、楽天のEC事業における流通総額の海外比率が6%から16%に増加することになりました。

2015年4月 米国の電子図書館『OverDrive』(500億円)

参考:楽天、米OverDriveの買収発表――電子図書館事業にも参入

図書館向け電子書籍配信サービス『OverDrive』を提供する米国OverDrive Holdings, Inc.を完全子会社化。Kobo CEOの相木孝仁氏は「10億米ドル規模の電子書籍ビジネスの創出を目指す」ことを表明しています。

OverDriveはなんと1986年創業ということで、かなりの老舗ですね。約5000の出版社から提供された250万以上のタイトルをラインアップし、米国では1万8000館、45カ国58言語で3万館以上の公共図書館、学校図書館が導入していたようです。

2015年7月 バーチャル試着サービス『Fits.Me』

参考:楽天、バーチャル試着室のスタートアップ、Fits.Meを買収―ファッションeコマースに意欲

バーチャル試着サービスを提供するFits.me Holdings Limitedを完全子会社化。Fits.Meはエストニアで創業され、ロンドンに本拠地をおくスタートアップだったとのこと。

2016年9月 フリマアプリ『FRIL』(数十億円規模)

参考:キーワードは“決済”——フリマアプリ「フリル」が楽天傘下での成長を選んだワケ

これは記憶に新しいですね。フリマアプリ『フリル(FRIL)』を提供する Fablic社を完全子会社化。

2016年10月 爽快ドラッグ(89億円)

参考:楽天、爽快ドラッグを買収 89億円で

生活用品等の販売・EC事業を運営する提供する株式会社爽快ドラッグを子会社化。爽快ドラッグは株式の約95%を住友商事が保有していたようです。2016年3月期の売上高は前の310億円(前期比+20%)。

2016年11月 教育事業のReDucate

教育サービスを提供する株式会社ReDucateを連結子会社化。もともとはドリコムが運営していたソーシャルラーニング事業で、成長加速のために2014年にドリコムと楽天の合弁会社として設立。


以上です。楽天はPinterestやLyftなど、未上場企業にも実は積極的に投資を行なっているようなので、今後の動きも注視していきたいところです。



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