EC社会で陰の主役!国内シェアNo.1「レンゴー」の歩みは段ボールの歴史そのものだった!

EC社会で陰の主役!国内シェアNo.1「レンゴー」の歩みは段ボールの歴史そのものだった!

ECの普及によって大活躍しているモノと言えば「段ボール」です。

商品を運ぶために用いられる「段ボール」はAmazonのシンボル的な存在。いまやEC社会に不可欠なインフラと言っても過言ではありません。

そして、日本には段ボール製造をメイン事業としている大企業があります。

「レンゴー」は2019年に創業100周年を迎えた老舗。現在でも王子ホールディングスなどを抑えて段ボール国内シェアNo.1に君臨しています。

19/3期の売上は6,500億円に到達。堅調に業績を伸ばし続けています。

果たしてAmazon効果はどれほどあるのでしょうか?レンゴーの歴史と事業内容を紐解いてみると、段ボール発展の歩みと意外な事実が明らかになりました。

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・レンゴーと日本の段ボール発展史が切っても切り離せない理由
・段ボールだけでなく〇〇事業もレンゴー第2の柱に
・国内段ボール統計:通販向けは段ボール消費量全体の〇〇%
・世界トップ2社の生産量はレンゴーの〇倍

「段ボール」の名付け親はレンゴー創業者・井上貞治郎氏

そもそも「段ボール」という言葉の成り立ちを探ってみると、ある経営者に行き着きました。その人物こそ、レンゴー創業者・井上貞治郎氏です。

関西生まれの井上氏は1895年に神戸の商家でキャリアをスタート。しかし、1年足らずで会社を飛び出してしまい、そこから14年間は30回以上も転職を繰り返す放浪生活を過ごします。どの仕事もうまくいかなかった井上氏は苦心の末、28歳のときに自ら事業を立ち上げることを決意して上京します。

大工道具のバイヤーとなった井上氏は、樫の木で作られた緩衝材に目をつけます。「電球包み紙」「なまこ紙」など様々な名前で呼ばれていた紙は焼き芋屋が片手で作っている程度の代物。品質の高いドイツ製は非常に高価だといいます。

ビジネスチャンスと捉えた井上氏は1909年に「三盛舎」を立ち上げ、緩衝材の開発に着手しました。製造機そのものを考案し、2か月の研究期間を経て製品化に成功します。段のついたボール紙で語呂も良く覚えやすいとして、井上氏は完成した製品を「段ボール」と名付けたのでした。

緩衝材として始まった「段ボール」ですが、香水1ダースの運搬に対応するため彼らは「段ボール箱」を開発します。ドイツから製造機械を輸入して量産体制を構築し、国内の工業化に合わせて段ボール事業は急成長。関東大震災や戦争を乗り越え、1949年には株式上場を果たしています。

高度成長期にはプリント段ボールや鮮度保持製品などのイノベーションを起こして市場を牽引。1972年に社名を「レンゴー」と改め、セロファン事業にも参入。海外展開も推し進めながら発展を続け、2019年に創業100週年を迎えました。

レンゴーの歴史=日本における段ボール発展の歴史」と言っても過言ではありません。

段ボール売上4,000億円突破、セロファン事業も成長

レンゴーは現在、大きく3種類の商品を製造しています。

「板紙・紙加工関連」事業では段ボール関連製品を取り扱います。そのほかにセロファン(軟包装)やポリエチレン(重包装)などのラッピング商品を提供しています。

板紙は15/3期の減収以降は右肩上がりに成長。加えて、包装商品や海外事業が堅調に伸びていることが分かります。

段ボール統計:通販向けは5%程度。段ボール消費の5割以上は食品向け

ここで、レンゴーから段ボール市場全体へと目を移してみましょう。「全国段ボール工業組合連合会」の統計データを探ってみると興味深いことが分かりました。

まずは全体像を把握するために日本全体の年間生産量を確認します。

リーマンショックで落ち込んだ段ボール生産量は2018年、過去最高の144.1億平方メートルまで増加しました。これは琵琶湖の約22倍、1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の合計面積よりも広いという規模感です。

では、生産された段ボールが何に使われているのか見てみましょう。

実は、段ボールの5割以上は食品向けに使われています。電化製品が全体の8%程度で続き、通販・宅配・引越用は5%程度。近年はECの普及で通販消費が増加していることも見てとれます。

Amazon効果がかなり大きいのかと思いきや、段ボール業界を支えている一番の用途が食品輸送だったとは意外でした。

売上原価率83.5%、有利子負債は増加傾向、時価総額2,675億円

レンゴーのその他財務情報を確認します。

売上原価率は83.5%、販管費率は13%前後で横ばいに推移しています。

バランスシートの動きを調達原資からチェックしていきましょう。

有利子負債による調達が増加傾向で、全体の36%を占めています。利益剰余金も継続的に積み上がっています。

集めた資本の多くは工場など有形固定資産として保有。現預金は310億円程度です。

19/3期は段ボール価格変動を要因とする純利益の増加で営業キャッシュフローが過去最大となる509億円に達しました。

直近5年間で株価は2倍近くまで上昇し、現在の時価総額は2,675億円です。現金310億円と有利子負債を2,776億円を考慮した企業価値(EV)は5,141億円。営業キャッシュフロー509億円に対して10.1倍という評価を受けている計算となります。

M&Aで海外展開を積極化、立ちはだかる世界的企業

レンゴーは段ボール需要増を見越してさらなる売上成長を計画しています。

来期は売上7,000億円の大台に到達する見込み。

彼らはM&Aによって海外展開を積極化させています。

2016年には香港「トライウォール」を買収したことで海外事業の売上が2.5倍となり、海外売上比率は10%以上に高まりました。

では、段ボールのグローバル市場でレンゴーはどのようなポジションに位置しているのでしょうか。

段ボール世界No.1のアメリカ企業「International Paper」、2番手の中国「ナインドラゴンズ」は2社ともに年間1,000万トン以上を生産。レンゴーの5倍近い生産能力を保有しています。

段ボール消費量はGDPと連動し、業界の成長市場は中国を中心としたアジア圏へシフト。レンゴーは世界的企業とどこまで渡り合えるのでしょうか。

まとめ

・レンゴーは段ボール国内No.1(シェア29%)、売上6,500億円
・「段ボール」の名付け親はレンゴー創業者の井上貞治郎氏
・段ボールだけでなくセロファンその他包装事業もレンゴー第2の柱に
・国内段ボール統計:通販向けは段ボール消費量全体の5%程度、食品向けが半数以上
・世界トップ2社の生産量はレンゴーの5倍

参考

全国段ボール工業組合連合会

日本経済新聞「段ボールのレンゴー、通販の追い風どこまで? 」

みずほ産業調査「3. 紙・パルプ -グローバル製紙企業の事業戦略とポートフォリオ変化」

「利益を出さない」ことで有名なAmazonは20年間、資金をどのように調達し、何にどのくらい投資してきたのか?

2017年10月10日 15:32

前回、AppleとMicrosoftの事業数値を昔にさかのぼって追ってみたエントリが好評だったので、今回はAmazon.comについて同じことをやってみます。

Amazonは1994年に「Cadabra.com」として設立されました。翌年、オンライン書店「Amazon.com」の提供を開始。1997年にはナスダックへの上場を果たします。