Facebookにも投資した香港の大富豪リカシンが率いる長江グループとは

2017年08月03日 21:33

ご存知の方も多いと思いますが、香港には長江グループ(長江和記実業)という有力財閥があり、会長を務める李嘉誠(リカシン)という人物がいます。

会社ホームページより)

リカシンはもう長いこと香港ではナンバーワンの大富豪で、フォーブズの世界大富豪ランキングでも中国のワンダ・グループの王権林に続いて19位にランクインしています。

資産額は312億ドルということで、かなりお金持ちです。ユニクロの時価総額とだいたい同じ規模です。


そんなリカシン氏は1928年生まれで89歳。あのウォーレン・バフェットよりも年上です。

しかし、バフェットと違って買収前のスカイプやフェイスブック(2007年)、スポティファイ(2008年)、Appleが買収する前のSiri(2009年)など名だたるテクノロジーベンチャーに出資を行なってきたようです。

彼はどうやって巨大な財閥を一代で築き上げたのでしょうか。

李嘉誠(リカシン)の半生

まずはざっくりとリカシン氏がどんな人生を送ってきたのかをまとめておきます。

中国1の大富豪・李嘉誠氏 週刊紙にプライベート語り話題に

Chairman's Profile

リカシン氏の故郷は中国の福建省とのことですが、日中戦争で日本軍が侵攻してきたために1940年に家族で香港に逃れます

しかし翌年には香港も日本軍の統治下におかれ、1942年には父親を肺結核で亡くしました。14歳にして家族を養うためにセールスマンになったとのことです。

その後、リカシン自身も肺結核にかかり死の恐怖を味わうも克服。プラスチックの取引会社で一日16時間働きます。

その中で稼いだ資金をもとに、1950年には自身の会社「長江工業」を創業

プラスチック工場を作って造花を生産すると、これが「香港フラワー」として大評判となり、その後の土台となる財産を築きます。

1958年ごろから不動産業へと事業の軸を移し、1972年には香港証券取引所に上場。1979年にはコングロマリットのハチソン・ワンポア、1985年には香港電灯を買収するなどして事業を拡大します。

香港長江実業、グループ再編 不動産・複合事業2社に

2015年にはハチソン・ワンポアと合併した上で、不動産事業とそれ以外の事業に大きく二分し、グループ内の資本関係の整理を行いました。

先のNEWSポストセブンの記事によれば、リカシンは次のような生活をしているそうです。

毎朝6時に起床し、テレビニュースを見る

・朝食後、1時間半ゴルフ

・オフィスのデスクには毎朝、ウォール・ストリートジャーナルやフィナンシャルタイムズ、エコノミストなど英語の経済紙があり、関心のある記事を中国語に翻訳させて読む

・夕食後は毎日20分程度、英語のニュース番組をみる 

  ・毎日寝る前に一定の時間、国際情勢や外交、政治、社会問題などの専門書を読む

まるで意識の高いビジネスマンみたいですね。

長江グループの直近の事業

リカシンと長江グループがたどってきた流れはざっくりと把握できたと思います。

次に、現在の長江グループがどんな事業を展開しているのかをアニュアルレポートから読み解きます。

長江グループの事業は次の5つに分類できるようです。

港湾サービス

25カ国で48の港に投資や開発、運営を行なっているそうです。

小売

アジアとヨーロッパにおいて最も大きく国際的なヘルスケア・美容小売品の事業者であり、世界25の地域で13300を超える店舗を展開。

ジャンルとしてはヘルスケア・美容のほかにスーパーマーケット、消費者家電、水なども扱っているそうです。

インフラ

エネルギー、交通、水、廃棄物処理、再利用エネルギーなど、多岐にわたるインフラ事業への投資や開発を行なっているとのこと。

エネルギー

エネルギー事業自体への投資も主に西洋地域やカナダ、米国、アジアで行なっているそうです。グループ企業のハスキー・エナジーはカナダで上場しているとのこと。

情報通信

モバイル通信やデータサービスの提供者であり、モバイルのブロードバンド技術のパイオニアらしいです。それはまた意外でした。

上の画像は、2016年の売上およそ5.2兆円の地域ごとの内訳です。

とても意外なことに(?)、売上の49%はヨーロッパからきており、さらにその21%はイギリスとのこと。

中国と香港はそれぞれ10%、13%にすぎず、14%がそのほかのアジア、8%がカナダとなっています。

ヨーロッパの売上2.5兆円のうち、41%が小売、35%が通信事業になっています。

次に大きい香港の売上は7054億円あり、そのうち64%が小売。23%が通信事業。

不動産でのし上がった、ということはこの中からは全く想像がつきませんね。どうやらボーダフォンの海外合弁会社などを保有しているようです。

最後に、各事業のKPIについてみて終わりにします。

港湾サービスです。年間のコンテナのスループットは8140万。そのうち3020万がアジア太平洋地域、1460万がヨーロッパ、1380万が中国本土と香港、2280万がハチソン・ポート・ホールディングスとなっています。

続いて小売です。

全体の店舗数は右肩上がりに増加し、2016年には13331店舗に達しています。

そのうち2929店舗が中国、2603店舗がアジア、5190店舗が西ヨーロッパ、2138店舗が東ヨーロッパでそれぞれヘルス&ビューティを展開しているようです。

ヘルス&ビューティ以外の業態は471店舗と、全体と比べてかなり少ないことがわかります。

インフラ事業のセグメント利益は1360億円に。綺麗に左右対称です。

エネルギーの生産量は一日321.2mboe。boe(石油換算バレル)というのはエネルギーの単位で、1バレル(159リットル)の原油を燃焼させたときに生じるエネルギーだそうです。

mboeやmmboeがどう違うのかはよくわかりませんでした。単にミリオンってわけでもなさそう。

最後に通信です。

アクティブな利用者数は4560万人を突破。「Wind Tre」とのジョイントベンチャーによって年間76%という驚異的な成長を実現しています。

感想

どの国でもコングロマリット企業というのはやはり理解するのが難しいです。長江グループのアニュアルレポートは今回読んだ分の10倍くらい分量があります。リカシンへの道は険しいですね。

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