AppBankマックスむらい氏が語る、頂点を味わったYoutuberの栄枯盛衰と今後の展望

2017年08月07日 22:16

僕はあまり普段Youtubeを観る方ではないのですが、最近どんな人やジャンルが人気ある、とかはなんとなく知っておきたいタイプの人間です。

そんな中、最近勢いのあるYoutuberとして注目を集めるヒカルさんと、かつてYoutuberとして栄華を極めたマックスむらい氏がコラボしてるのを発見。

この動画40分以上もあるのですが、不覚にもすっかり観入ってしまいました。

今朝は別の動画が上がっているのもみましたが、どうやらこのコラボはマックスむらいさんの方から持ちかけた企画のようです。

そうなるとマックスむらいさん側の狙いはわかりやすいですね。

「今勢いのあるYoutuberであるヒカルさんとコラボすることでなんとか苦しい状況を立て直したい」ということに尽きるのだと思います。

AppBankのここ2年の四半期業績は次のような状況です。

2015年まではものすごく勢いがあり、営業利益率も20%を超えていました。

しかし、2016年に入ってから業績は急降下。なかなか利益を出せない苦しい展開が続いています。

動画の背景

AppBankの業績がいきなり悪化した背景には、2016年の頭あたりに公になった元社員による横領事件がありました。

AppBank、元役員による1億4000万円横領の調査報告書公開 不正送金プロセス明らかに

Youtuberは結局のところ人気商売ですし、稼いだお金が横領に使われたということで、マックスむらい氏側としても動画の中で商品をゴリ押し紹介することが難しくなったとのこと。

なかなか業績を立て直すことができない中で、新しい施策の一つとして、今一番勢いのあるYoutuberであるヒカル氏にコラボを持ちかけた、ということのようです。

AppBankの創業から上場までの経緯

先の動画の中ですごく興味深いなあと思ったのは、「Youtuberとしてのマックスむらい氏」ではなく、「経営者・起業家としての村井さん」としての部分が語られていたところです。

動画で語られていたAppBankの創業から上場までの経緯をざっくりとまとめてみます。


2008年にiPhoneが日本で発売されたとき、マックスむらい氏と創業以来の現CEOの宮下氏は、スマートフォンは「インターネットそのもの」だということに気がついたそうです。ポケットから取り出して、3秒以内に世界と繋がれる。

スマートフォンの出現により、当時パソコンで行われていたビジネスは全てスマートフォンに移行するのではないか、だったらここで商売しないといけない、ということを話していたそうです。

「AppBank」という社名自体も、「Appleが作った携帯を、ソフトバンクが販売したから」ということで作った社名であり、サイトの名前でした。

彼らはまず、iPhoneアプリを紹介することから初めてトラフィックを稼ぎ、AppBank経由でアプリを買うと報酬を得るというアフィリエイトで収益をたて、それだけでかなり伸びていったそうです。

そこからスマホ関連商品の通販やリアル店舗などに展開。

その後、アプリ内課金が出てくることにより、アフィリエイトは縮小。そして、代わりに出てきたのがゲームの課金だったとのこと。

しかし、当時ゲームとしてメジャーだったのは「カードソーシャル」と言われるジャンルで、「怪盗ロワイヤル」などが主流だったそうです。

そんな中で「パズドラ」の企業案件が持ち込まれ、彼らは「これだ、これをヒットさせよう」ということで、企業案件を超えてパズドラの記事を書きまくったそうです。

そしてその後、パズドラは日本中で大ヒット。AppBankの知名度もサイトのトラフィックも一気に上がっていきます。この頃が2012年。

その頃にはテレビ「お願いランキング」で企画・出演をお願いされるほどに大きくなり、そこからニコ生でゲームの紹介に派生。

そうしていると、グーグル社自体から「Youtubeをやらないか」という話を持ちかけられます

当時、日本でゲーム実況をやっている人はほとんどおらず、すでに知名度とファンを抱えているマックスむらい氏はちょうどいい存在だったのでしょう。

AppBank社はブログ、ニコ生、Twitter、Youtuberと展開していくことで、接点を作ったユーザーを違う媒体同士で相互送客することにより、ユーザーとの接点が倍々ゲームのように増えていったそうです。

その結果、マックスむらい氏は自分の時間の9割を動画に割く、という経営者としてはなかなか大胆な意思決定を行います。

その戦略は実際に功を奏し、「マックスむらい」というキャラクターがどんどん大きくなる中で、ブログメディアやツイッター、リアル店舗など全てのチャネルが大きくなり、利益も増えていったようです。

その勢いに乗って2015年10月にマザーズに上場。


しかし、その直後に例の横領事件が発覚し、それを境にするかのように人気は急降下。メディアで叩かれるたびにYoutube動画での低評価が5〜6千件も増え、中にいるスタッフの気持ちが徐々に弱気になってしまったようです。

AppBank社の今後の展望

AppBank社では、先にあったような失敗を踏まえ、事業の方向性を大きく変えようとしています。

「マックスむらい」という一つのキャラクターが大きくなり、ユーザーとの接点を拡大していきましたが、やはり人に依存するのは安定しない。

そこで考えたのは、現在の「マックスむらい」ポジションを別の何かに入れ替える、という戦略です。

その中で仕掛けているのが漫画アプリと、麻雀ゲームの二つ。

漫画アプリに関しては、今まだ「マックスむらい」のパワーが残っているうちに、何かしらの漫画のIPに乗り移させ、それを保有することで業績を安定させようという狙い。

実際にデネシーというメディアも立ち上げています。

早速Youtuberのヒカルさんとコラボしています。


麻雀ゲームに関しては、今までユーザーは集めやすいものの、収益にするのが難しいという性質があったそうです。

その中で、マックスむらい氏は既存の麻雀ゲームが「横型」のものばかりしかないことに気づき、スマホとの相性が良い「縦型」で遊べる麻雀ゲーム「ツモツモ」を考案。

今年の3月に公開しつつも、なかなかユーザー同士のマッチングができるほどの規模にたどり着くことができていないとのこと。


「麻雀ゲーム」「漫画メディア」という二つの施策が、今後どのように運ぶかは正直なんとも言えないですが、マックスむらいという人が思った以上に戦略的な人だったんだなという点が印象に残りました。

2008年のiPhoneが発売された時点でスマートフォンの時代が来ると予見し、それに向けて実際に行動した人が日本にどれだけいたでしょうか。

また同時に、新たな時代の変化が訪れた時に、それを予見することができれば上場企業を作るレベルのインパクトを生み出せるのだなとも思います。

AppBank社はこれから復活し、新しいビジネスモデルを構築するのか、それとも市場から消えてしまうのか。ちょっとだけ注目してみようかなと思いました。

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